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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
刀会 1
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笑狸が桃矢のほおを両手ではさみ自分にむけると強引にキスをした。
重なる唇と唇、魂と魂。たがいの気と気が混ざり合い、一つになる。光のヴェールにくるまれた次の瞬間、そこにいたのは笑狸でも桃矢でもない長髪の青年だった。
長い黒髪に金色に輝く瞳。白い牙に銀色の爪と赤い舌。とがった耳と太い尾……。
いつぞやの時と同じ姿だった。
「わっ、なにこれ変な感じ。桃矢の霊力が流れ込んできてる!」
(これが同調性共鳴症です。ボクという能力者を媒介にたがいの霊力を同調させ、共鳴効果によって強化させる)
「あっははは、なんだか合体技みたいだね。……今なら秋芳に勝てるかな?」
「この前もそんなことを言って襲いかかってきたよな、おまえ」
「あ、そうなんだ。で、けっきょく勝てなかったと……。んー、残念賞!」
「なにが残念賞だ。桃矢、とっとと同調を解け。今ならおまえ自身の意志でできるはずだ」
(はい!)
同調性共鳴症、解除。桃矢と笑狸は元通り二つにわかれた。
「……なんで秋芳先生とは同調しなかったんでしょうか?」
「そんなことよりもな、桃矢」
「はい」
「なにおまえサラっとナチュラルに俺とキスしちゃってるの? 俺の唇に唇を合わせちゃうの? おかしくない? おまえの同調性共鳴症てのは相手に自分の唇を接触させれば発動するんだよな、この前そう言ってたよな」
「え、ええ。そうです」
「そっちの唇が触れさえすればべつにどこでもいいのに……、なぜだ?」
「あ! そう言われれば……。ええっと〜、ついなんとなく口にしちゃいました」
「なんとなくだぁ〜、俺にキスするということは京子と間接キスするということだぞ、このヴォルール・レーヴルめ。ゆるさん!」
「ええ〜!? ていうかなんでフランス語!」
秋芳の全身から呪力があふれ、陽炎のようにゆらめく。
「うわあぁぁぁぁッ! こ、殺される〜ッ!!」
「殺しはしない。……さっき話に出た帝釈天の逸話だがな、聖仙ガウタマの妻であるアハリヤーに懸想した帝釈天がガウタマに化けてまんまとアハリヤーと床入りするも、それがすぐにばれてガウタマに呪いをかけられてしまう。その呪いというは全身に千の女性器をつけられたうえに男の性的能力を奪うという恐ろしいやつだった。京子と間接キスをした間男め! おまえにも同じように恥ずかしい呪いをかけてやる!」
「キャーッ!? やめてーっ!」
悲鳴をあげ、逃げようとする桃矢。だがそれよりも速く秋芳の手がのびて、桃矢の顔をなでた。
顔の中央に違和感が広がり、なにかが口にあたる。おそるおそる手でさわってみると、鼻がのびて垂れ下がっていた。
いや、なにかちがう。これは鼻ではない。妙にやわらかく、なじみのある感触。先端部分にふたつあるはずの穴はなく、皮につつまれている。
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