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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
ある夜のふたり〜月語り〜
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青年達の言葉には三割の皮肉と七割の嫉妬に棘のコーティングがほどこされていた。ことさら東京と口にするのは、現在最も権勢を誇っている倉橋家が東京を拠点としているから。
かつては陰陽頭を務めた賀茂家も、いまでは見る影もない。そうあてつけているのだ。
彼らは普段このようなあからさまに悪意のある口ぶりはしない。むしろ秋芳らに対して遠慮というかよそよそしい態度を取ることが多い。
先の座敷では酒もふるまわれた。アルコールの勢いでついつい普段は心の奥にしまい込んでいる心情がもれ出てしまったのだろう。
皮肉と嫉妬にくわえて愚痴も追加された。
「――まったくよぉ、これくらい最初から決まってる業界なんて呪術界くらいだぜ。金もコネもある名門に生まれて、ガキの頃から呪術界入りして働いてりゃ、いやでも上手くなるっての」
「大人になって一から修行して業界入りするのにくらべ、最初からコネで業界に入れるんだもんな。一般呪術者にくらべて一歩も二歩もリードしてるわけだ。うらやましいねぇ」
「周りの敷いてくれたレールに乗っかるだけの楽な人生だよな、名門陰陽師ってのは」
さんざんな言いようである。
その名門に生まれてしまったがゆえに死ぬようなスパルタ教育を受けて育ってきたわけだが、おまえらにはそれがうらやましいのか? 成人男性でも気を抜けば命を落としかねない真冬の滝行を幼少の頃から幾度もおこない、入峰修行では野草を食べ雨水をすすり動物や昆虫を捕らえて胃袋に入れた。
不眠不動、土中入定、火渡り、捨身――。
これらのうち一つでも楽な修行だと、おまらは思うのか?
そう口にしてもよかったのだが、どうにも不毛な口論になりそうに思えたのでやめた。他人の言葉、周囲の目なんて気にし出したらきりがない、身が持たなくなる。
言いたいやつには言いたいことを言わせておこう、ここは自由の国だ。
青年達は言論の自由を享受している。
秋芳は馬の耳に念仏と決め込んだが咲耶はそうではなかった。あちらに言論の自由があればこちらにもあり。咲耶がなにかを言いかけようとした時、その表情に緊張が走った。青年らのはるか後方から近づくものに気づいたからだ。
夜の闇よりもなお暗い、地にうごめく雲のようなもの。
遠くからでも感じられるおびただしい量の瘴気――。
秋芳もまたそれを見鬼た。
「百鬼夜行だ」
「なにっ!?」
秋芳のつぶやきに驚愕した青年達は見鬼を凝らしてあたりを見回す。
だが――。
「なにも来ないぞ」
「おどかすなよ」
青年達には見えない。遠くからやってくる百鬼の群れが。
「おれたちをバカにしようとしているのか?」
長身の青年がずずいと秋芳にせまる。
「あのあやしい雲気が見えないのか?」
「ああ、見え
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