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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 5
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な姿すら艶めかしく美しいと評判だったそうだ。
倉橋京子は一度口にふくんで咀嚼した物を吐き出すような不調法者ではない。なんとか飲み込んだ。
すると別の霊災たちもわらわらと集まり、それぞれが手にしたゼリービーンズをさし出す。自分たちも感謝の念を伝えようというのだ。
「……ねぇ、あんたたちのそれ。なんのお菓子よ?」
ブードゥー教の秘術で動いてそうな人形が紅白縦縞のパッケージをかかげる。とても有名な魔法使いの物語に出てくる、百種類の味が楽しめるお菓子であった。
「みんなの気持ちだけありがたく受け取っておくわ。――全員配置につきなさいっ、揺れるわよ!」
炎渦巻く広大なフロアーを一気に駆け抜けて、エレベーターホールへとたどり着く。
「エレベーターに乗ってる時に今みたく火炎を喰らったらえらいことになるが、階段で三十三階まで上がるのもなぁ」
ふところに手を忍ばせ一枚の札をなでる。札には
火迺要慎
(
ひのようじん
)
の文字が書かれていた。火伏せ・防火にきわめて高い霊験のある愛宕神社の火伏札だ。一般に売られている乙種護符ではない。正真正銘本物の呪力が宿った呪具、甲種護符だ。宮地が火界咒をおこなっていると聞いて、万が一にそなえて身につけてきたのだ。
札に込められた力を解き放てばどんな炎からも数分間は守られるはずだ。インフォメーションによると一階から四十五階にある展望室まで直通ならば五十五秒でつくという。三十三階までならもっと早い。
だが火災報知機が作動した影響か、どのエレベーターも停止していた。
すると一台のエレベーターが地下から上がって来るのを表示ランプが示した。いそいでボタンを押すと、ちょうど扉が開き中からふんぞり返った老人があらわれた。左右に部下らしき黒服の男を従え、制服姿の警備員の姿も見えた。
「どこのどいつだ、こんなところでエレベーターを止めるようなやつは」
老人は居丈高な口調で忌々しげにうなった。
扉の前にいる秋芳を見て警備員が舌打ちしてにらみつける。
「なんだね君は、これは要人専用のVIPエレベーターだよ。政治家様や議員先生とか、そういう偉い方たちだけが利用できるんだ。こちらにおわす方は天下の東京都知事、猪鹿蝶太郎様であらせられるぞ、頭が高い。ひかえおろう!」
この尊大な老人は外国人とカラスと漫画が大嫌いなことで有名な東京都知事だった。
なんでも国民に対して不透明な霊災修祓の現場がどうなっているのかを知るために、決死の覚悟で視察に来たというのだという。おおやけの地図には明記されていない地下駐車場にある職員用の通路から都庁ビルに入ったそうだ。
次の都知事選挙でも再選を果たすべく、存在感を誇示するための安っぽいパフォーマンスであろう。
今この建物内には呪的トラッ
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