ターン83 鉄砲水と決別の歯車
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どデュエルリング近く、いい機会ですので久しぶりに……そう、あなたの言葉を借りるならば、実技授業と洒落込んでやりますーノ!」
「え、ちょ、夢想に葵ちゃん、助け……あぐっ」
なんだかおかしな話になってきたのでとりあえず逃げようとした首根っこをさっと掴まれ、あの細い腕のどこにそんな筋肉が付いているのかと聞きたくなるような怪力でずるずると引きずられていく。見かねた夢想が1度手を伸ばして制止しようとしたものの、葵ちゃんが何かを耳元で囁くとその手をひっこめ、こちらに申し訳なさそうに一瞥して彼女に引っ張られるまま廊下の反対側に消えていった。
ああ、もう!葵ちゃんには後でたっぷり反省と後悔してもらうとして、今は自分の心配だ。引きずられながらどうにか首を動かし、クロノス先生の方を向く。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!本気ですか先生!?」
「さあ入るノーネ、シニョール清明。先攻は差し上げますからさっさと準備しますーノ!」
「えぇ……」
何が何だか、というのが本音だけど、こうなった以上口でどうこう言っても何も変わらなさそうだ。なら僕もさっさと気持ちを切り替えて、目の前のデュエルに全力で向き合う覚悟を決めるとしよう。
そう思い直すと、一気に自分の中でスイッチが切り替わるのを感じた。さっきまでの困惑はどこかに捨てさって、今僕の全身を占めているのは単純な闘志。そういえば、クロノス先生とデュエルするのなんていつぶりだろう。確か砂漠の異世界で、ゾンビ化した先生と戦わされた時が最後だったはずだ。思えば入学試験でこそ勝てたものの、それから3年間僕はこの人に1度も白星を挙げていない。卒業までにあと何回実技の授業があるかは忘れたけれど、ここを逃すと下手したらもうチャンスはないだろう。
……絶対に、負けない。
「ほう?少しはいい面構えになったノーネ」
「おかげさまですよ、先生。思えばあの時、先生に勝ったからこそ僕はこの学校に入ってこれたんだ。だったらもういっぺんあなたに勝って、凱旋と洒落込んでやりますよ。3年間で僕が、それとこのデッキがどれだけ成長したか、嫌というほど味あわせてあげます」
「私の暗黒の中世デッキの恐ろしさ、どうやら少しデュエルしないうちにすっかり忘れてしまったようなノーネ。よろしい、ならば教師として、もう一度たっぷり刻み付けてあげますーノ!」
「「デュエル!」」
先ほどのクロノス先生の言葉通り、僕の先攻が既に設定されている。あの人の使う古代の機械は、自分が攻めこむときにきわめて厄介な効果を持つモンスター群……さて、どうしようかね。どうしようったって、攻するしかないか。
「僕のターン。グレイドル・イーグルを召喚、これでターンエンドです」
グレイドル・イーグル 攻1500
すっかり切り込み役として定
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