ターン83 鉄砲水と決別の歯車
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を、震え声でもう1度吐き出す。クロノス先生が負けたくないという気持ちの源を知ってしまった以上、このカードを発動することに対しての躊躇いは大きかった。もしここで僕がこのまま負ければ、誰も卒業しなくて済む。
だけど、それでも、僕はここで勝つことを選んだ。墓地にスキル・サクセサーがあったということは、残る手札は先ほど見た2枚だということ。つまりクロノス先生にはもう、これ以上打つ手はない。
後悔がないといえば、大嘘になる。自分の手でこの生活との訣別の一手を打ったのだから、それが悲しくないわけがない。
自分に言い聞かせる意味も込めて、何度でも言おう。それでも僕は、ここで勝つ道を選んだのだ。
「私の墓地から古代の機械射出機の効果を使って……いえ、グレイドル・スプリットには確か、モンスター2体をリクルートする効果もあったノーネ。私はこれで、ターンエンドしますーノ」
不思議と、クロノス先生の口調は穏やかだった。憑き物が落ちたように微笑むクロノス先生の横で、強化カード2枚の効果が切れた古代の機械巨人の出力が通常の状態に戻っていく。
古代の機械巨人 攻6600→5800→3000
「さあシニョール清明、何をぐずぐずしているノーネ。私が教師として全力で受け止めてあげますから、あなたも生徒として全力でぶつかってくるノーネ!」
きっぱりと言い切るクロノス先生の声に後押しされるように、涙を振り払って顔を上げる。
「霧の王っ!古代の機械巨人に攻撃……ミスト・ストラングルウッッ!」
それは、ほとんど絶叫に近かった。もう一度だけ繰り返そう。それでも、これがぼくの選んだ道だ。迷いも後悔もあるけれど、それでも僕は前を向こう。
霧の王 攻6800→古代の機械巨人 攻3000(破壊)
クロノス LP2100→0
こうしてクロノス先生の授業ボイコット事件は終わりをつげ、その翌日からは無事に授業も再開された。時々ふとしたきっかけでしんみりした空気になったりすることもあったけど、それぐらいの変化は仕方ないだろう。また、何事もない日常が戻ってきたのだ。
……約1名を除いて。
「チクショウ、こんなことになるなら、ちゃんと授業受けとけばよかった〜っ!」
ああ、今日も大量にサボりまくった授業のツケとしてこれでもかとばかりに補習を受ける十代の悲鳴が校舎に響く。申し訳ないけど、これに関しては僕も散々口を酸っぱくして注意はしてたしねえ。僕知ーらないっと。
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