ターン83 鉄砲水と決別の歯車
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ンを譲るノーネ!」
ようやく少し落ち着いたクロノス先生が涙を袖でぬぐい、若干赤い目のまま立ち直る。
「……ターンエンド!」
次のターンだ。次のターンで、全ての運命が決まる。なら僕も、覚悟を決めてどっしりと迎え撃つのみだ。
「私のターン!」
このドローで、クロノス先生の手札は計3枚。ただそのうち1枚は、先ほどサーチした古代の機械騎士かサルベージした古代の機械箱のどちらかと見てほぼ間違いないだろう。少なくともどちらかは古代の機械素体の効果を発動するために手札コストとして使われたはずだから、両方が手札にある可能性はまずない。どちらも今更この状況に影響を与えるカードではないだろうし、何よりクロノス先生はこのターンもまだ魔法の歯車のデメリットである通常召喚不可の制約を受けているからこれは無視しても問題ないはずだ。となると、警戒すべき残りは2枚。
「魔法カード、受け継がれる力を発動。私のフィールドから多次元壊獣ラディアンを墓地に送り、その元々の攻撃力を古代の機械巨人にこのターンの間加算するノーネ」
「墓地に送り、か……」
霧の王はフィールドに存在する間互いのプレイヤーにあらゆるカードのリリースを許さない永続効果を持っているが、墓地に送り発動するカードまでは防げない。ただそれでも古代の機械巨人の攻撃力は、霧の王にあと1歩のところで届かない。
古代の機械巨人 攻3000→5800
「墓地のトラップカード、スキル・サクセサーを発動!このカードを除外し、古代の機械巨人の攻撃力をこのターン800ポイントアップさせるノーネ!」
「……っ!」
違う。手札コストは、古代の機械箱でも古代の機械騎士でもない。第三の手札は、とっくにこのターンへの布石として墓地に送られていたんだ。更なる強化を受けた古代の機械巨人の攻撃力が、なんとこのターンだけで霧の王に追いつき、そして追い越した。
でも……でも、それでも僕は。
古代の機械巨人 攻5800→6600
「これが私の本気、私の持てるすべてナノーネ。長かったこのデュエルにもここで決着をつけてやりますーノ、アルティメット・パウ……」
攻撃宣言をしようとしたクロノス先生の言葉が、途中で止まる。その視線の先には、霧の王……片目を銀色に染めたオッドアイとなり、さらに上の力を得た僕の、そして僕たちの姿があった。
霧の王 攻6300→6800
「……すいません、先生。トラップ発動、グレイドル・スプリット。このカードを霧の王の装備カードと、して……こうげ、き、力を、500ポイント……」
そこまで言うので限界だった。必死にこみあげてくる涙を隠すために下を向き、両目に力を入れて溢れ出るそれをなんとかせきとめようとする。好いません、そんな謝罪の言葉
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