ターン83 鉄砲水と決別の歯車
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な体力ではなく精神が疲弊してきたのだ。
「古代の機械究極巨人は破壊された時、自分の墓地の古代の機械巨人1体を召喚条件を無視して特殊召喚できますーノ。それからシニョール清明、それは当たり前なノーネ……このデュエルは、私は絶対に負けたくないノーネ……」
それは、デュエリストとしてみれば何もおかしなところのない言葉だ。負けたくない、そんなもの誰だってそうだ。だけど、今の言い方には少し引っかかるものを感じる。
「……クロノス先生。そもそも、なんで授業を突然止めちゃったりなんてしたんですか?」
こうして今デュエルしている理由も、結局のところ元をたどればそこに起因する。「このデュエルに」負けたくないということは裏を返せば、負けて授業を再開したくないという思いが根底にあるはずだ。これだけ長い間デュエルを続けてきたのに、まだその理由を誰も聞いていない。
全生徒が、そしていつの間にかその中に混ざっていた鮫島校長やトメさんの視線が集中する中でわずかに沈黙の時が流れ、次の瞬間クロノス先生が誰も予想しなかった行動に出た。なんとその両目にいきなり大粒の涙が溢れ、恥も外聞もなく男泣きに泣き崩れたのだ。
「マンマミーヤ!」
「えっ?」
「あなた達が卒業なんてしたら、皆とはそれでお別れになってしまいますーノ!そんな寂しいことをこれ以上我慢して、授業なんてとてもじゃないけど私にはできないノーネ!こんなこと私の教師生活の中でも初めての経験だから、もうどうしていいのかわからないノーネ!」
「えぇ……」
呆れ半分ではあるが、もう半分は……実は、クロノス先生の言うことも少しわかる。
この3年間は、僕の人生の中でも特に濃い年月だった。開幕死んじゃったし、僕。それからも学校で商売始めたり、命どころか魂まで賭けて闇のデュエルを繰り返したり……あの時は無我夢中だったけど、ふと振り返った今なら自信を持ってこう言える。確かに、辛いこともあったけれど。それでもこの3年間はかけがえのない大切な、そして楽しい時間だった。そんな時間が終わるのは、僕だって嫌だ。そしてその思いは、多かれ少なかれここにいる皆が抱えているはずだ。
もしかしたら、授業をボイコットして今クロノス先生の位置に立っていたのは、僕自身や他の生徒の誰かだったかもしれない。でも先生がその役を引き受けてくれているからこそ、僕らはこうしてそれを止める側に踏みとどまっていられる。考えようによってはあの人は今、僕ら全員の持つ弱さをたった1人で全て抱え込み、越えるべき最後の壁として立ちはだかってくれているのかもしれない。
そう考えればあの人は、やっぱり最高の教師だ。なんて、少し美化しすぎたろうか。ま、そんなのもたまにはいいだろう。ロマンチックは嫌いじゃない。
「ムムム……さあ、わかったら、早くター
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