ターン83 鉄砲水と決別の歯車
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その日、僕が授業を受けるために校舎に足を踏み入れると、なにやら教室前に人だかりができていた。その中に夢想の青髪が見えたので、近寄って話しかける。
「やっほー。なに、また今日もなの?」
「そうみたい、だって」
また、というのは、教室前に張り出された張り紙のことだ。そこにはただ簡潔に、今日の授業は臨時でお休みするノーネ、とだけ書かれている。
別にそれだけなら、ああ今日は休みなんだなよっしゃラッキー、だけで済む。実際、僕もこの張り紙が出てくるようになった初めのころはそう思っていた。
ただ問題は、それがあまりにも長すぎることだ。
「これで……3日連続?」
「うん。そろそろ危険かな、って」
それは、去年までなら考えもしなかったであろう問題。クロノス先生が授業をボイコットすることによる、シンプルにしてきわめて厄介な問題。有り体に言うと、出席日数不足だ。本来なら先生がちょっとやそっと授業をしなかったぐらいではどうということもないのだが、これまでのセブンスターズ戦や光の結社騒ぎ、とどめの異世界騒動のしわ寄せでこれまでにもさんざん授業が潰れまくった結果、僕らの世代は毎日毎時間休まず出席してもかなりギリギリでしか卒業できない。そんな状態で先生側がこの調子だと全員留年、の文字が本格的に笑い話ではなくなってしまう。
「クロノス先生だって、それはよくわかってるはずなんだけどね」
「でも先輩方、覚えていますか?最近のクロノス教諭、いつにもまして……その……ご乱心なようでしたが」
実技担当最高責任者による全体講義が休講となれば、本来僕らの1コ下である彼女たちにも無関係な話ではない。ひょっこり会話に入ってきた葵ちゃんが、何か波風立たない表現を模索した末に結局諦めたのかいつも通りさらりと毒を吐く。ただ言葉のチョイスこそあれだけど、僕もそこに関しては同感だ。
「ライフ計算のためナノーネ、とか言って数学どころか小学校の算数レベルの計算やらされたり……」
「先日は座学なのに腕立てやらされたりもしたね。ハードなデュエルには体力が必要だのなんだの言って」
「体調でも悪いのかな、って」
「だとしても、早く良くなってもらわないと困るんだけどね」
進路も心配ではあるけれど、卒業できないだなんてそれ以前の問題だ。いや、全然僕にとっても他人事ではないんだけど。
「こうしちゃいられない、もう限界だ!皆、クロノス先生を探しに行くぞ!」
お、背後でなんか始まった。がやがやと騒ぐ声に振り返ると、度重なる授業中止にしびれを切らしたらしいオベリスクブルー男子、正直顔はわかるけど名前わかんない奴が周りのイエロー生やブルー生を集めて演説を始めていた。
「お前たちだって、もうそろそろ進路は決まってるんだろう?この間だって、万丈目がプ
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