暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と春の花達
第六幕その一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
           第六幕  須磨の海
 王子はこの朝まずは先生のお家にキャンピングカーで行ってそのうえでこう先生に言いました。
「どうせならね」
「どうせならって?」
「そう、二人で行ったら?」 
 こう言うのでした、どうにかというお顔で。
「日笠さんに誘われてるんだよね」
「そうだよ、今日は」
「だったらね」
「日笠さんと二人でなんだ」
「行ったらどうかな」
 こうアドバイスするのでした。
「本当に」
「いや、それはね」
「よくないっていうんだね」
「そうだよ、やっぱりね」
 先生は王子に微笑んで言うのでした。
「お誘いを受けたのならね」
「いやいや、王子も和歌会に参加するし」
「そういえばトミーもだね」
「だからね」
 それ故にというのです。
「皆も、って思ってね」
「やれやれだね、けれどね」
「けれど?」
「それが先生だからね」
 笑みを浮かべてです、王子は先生にこうも言いました。その笑顔はとても暖かいものでした。
「先生のいいところだよ」
「そう言ってくれるんだ」
「そうだよ、先生らしいよ」
 また言うのでした。
「それもまたね、まあ海じゃね」
「うん、皆で観てね」
「違うよ、僕達は僕達で何とかするから」
 だからだというのです。
「先生は日笠さんと二人でね」
「海をだね」
「うん、観たらいいよ」
「じゃあ王子達は」
「だから僕達は僕達で観ているから」
「それじゃあ」
「うん、宜しくね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 先生もトミーも動物の皆も乗せたうえで日笠さんのお家に向かいました、そのキャンピングカーの中でトミーも言います。
「先生は前に出るべきですよ」
「前に?」
「そうです、前にです」
 まさにというのです。
「とんどん」
「前に出てなんだ」
「そうしたらです」
 まさにというのです。
「もっと幸せになれますよ」
「幸せに」
「そうです、今以上に」
 まさにというのです。
「ですからどんどん積極的にいったらどうですか?」
「何について積極的にかな」
「そう言われますと」
 トミーも返答に困って苦笑いになります。
「困りますけれど」
「そうなんだ」
「そうです、けれど」
 トミーは先生に言葉を選びつつお話します。
「先生ならもっと幸せになっていいですから」
「これ以上はない位に幸せなのに」
「それは先生がそう思われているだけで」
「もっとだね」
「はい、幸せになれます」
「そうなのかな」
「そうです、もっと幸せになれますから」
 だからだというのです。
「どんどん前にです」
「進むべきなんだ」
「そう思います」
「何かよく皆に言われるけれどね」
「そうですよね」
「さっき王子にも言わ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ