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下ネタ好きの高木さん
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「ねぇー、西片」
「うわっぷッ!?」

 昨夜観た映画の影響で『オレの考えた最強のミュータント能力』妄想に耽っていた西片くんは、突然隣の席の高木さんに話しかけられ、不覚にも驚きを隠しきれなかった。

「あはは、なにビックリしてるの。エッチなことでも考えてた?」
「そ、そんなこと考えるわけないだろう!」
「ほんとう〜、ずいぶん驚いてたよ」

 下から覗きこむようにして見上げてくる高木さんは悪戯な表情を浮かべている。

(かわいい、よな……)

 白く秀でた額に背中まで伸びた艶やかな栗色のロングヘア。ぱっちりとしたアーモンド形の瞳。
 高木さんはそこいらのアイドルなんかよりも、よっぽど美少女だった。

「昨日の夜に観た映画のことを思い出してたんだよ。そんなことよりも、なにか用かい? 高木さん」
「うん、あのね。聞きたいことがあるんだけど」
「なに?」
「男子ってみんな朝立ちするの?」
「ウボァーッ!? な、なにを言ってるんだ、高木さん!」
「男子ってみんな夜間陰茎勃起現象があるの?」
「正式名称で言い直さなくてもわかるよ!」
「どうなの? あるの?」
「ま、まぁ、健康な男子ならみんなあるんじゃないかな」
「西片もあるの?」
「ま、まあオレも健康な男子だからね」
「今日の朝、立っちゃった?」
「…………」
「立っちゃった?」

(くっ、高木さんめ、女子なのになんてことを聞いてくるんだ。だけど、朝立ちは立派な生理現象。べつにエロとか関係なく立つんだ。恥ずかしいことじゃない!)

「西片〜、答えてよ〜」
「あ、ああ。立ったよ! 健やかに伸びやかに立ったさ! でもね、高木さん。知ってると思うけど、それは純粋な生理現象であってエッチなこととは関係なく立つものなんだからね」
「そういうときってどうするの?」
「え?」
「自然におさまるまで待つの? それとも、しちゃうの?」
「し、しちゃうって、なにを?」
「ナニを」
「な、ななな、ナニ!?」
「ヌキヌキしてすっきりするのかな〜、て」

 高木さんのしなやかな手が上下に動く。

「こんなふうに、するんでしょ――」
「あ、ああ――」

 ゆっくりと、上下に。
 ときに、早く。
 ときに、遅く。 
 ときどき動きを止めて、指先だけがなにかを転がすようにうごめく。
 人差し指と中指、親指でなにかをつまむ動作をする。
 もう片方の手も添えられ、「なにか」の先端をくるむようにつつんで優しく撫でまわす――。

(エア手コキ!)

 西片くんはそこに高木さんにもてあそばれる男性器の幻影を見た。

「くっ!」

 高木さんの淫靡な動作に西片くんの男子の部分が不覚にもエレクトしてしまう。

「あ、立った」
「はあっ!?
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