第65話『青年と老人』
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、砂浜を走ること数分。全速力で走ったから、そりゃ息も切れる。
一方、カズマは全く疲れた様子を見せていない。先ほどの戦闘と云い、きっと凄い人物なのだと思われる。
いやそもそもに、キリッとした目、高身長、整った顔立ちという、美青年と言うに相応しい容姿な時点で凄い。ついでに言えば、袴を着ているところが侍っぽくて格好良い。
「さてさて。さっきは忙しかったから簡易にしたが、もう一度自己紹介しよう。俺はカズマ。歳は二十一くらいか。特技は・・・特になーし」
「さっきの剣術は…?」
「あんな力任せ、特技なんて呼べねぇよ。俺に"斬る"なんて、器用な真似はできねぇんだ」
短い茶髪を掻きながら、彼は嘆息した。
確かにさっきの剣術は単純な力技にも見える。それでも、緋翼にできないことをやってのけてはいるのだ。伊達な剣術ではないと思う。
「それにしても、何でお前らはゴーレムの群れに囲まれてたんだ?」
「それが────」
晴登はカズマに今までの経緯を話してみる。謎の人魂によって見知らぬ場所に飛ばされ、いつの間にかゴーレムの群れに襲われたのだと。自分でも突拍子もないことだと思う。
しかし彼はなんと、驚く様子を見せることもなく、むしろウンウンと頷きながら聞いていた。さすがに人を信用しすぎではないかと、逆に心配になる。
「なるほどなるほど。だったら話は早ぇな。ちょっとばかし、ついて来て貰うぞ?」
「えっ?」
「もちろん拒否権はありませーん。ほら、行くぞ」スタスタ
こちらを振り返ることもせずに、彼はズンズンと進んでいく。余りの展開の早さに拍子抜けするが、ついて行かない訳にも行かず、一行はカズマの後を追った。
*
「…何処ですか、ここ?」
「俺の住んでる村だ。目的地はもっと奥だ」
晴登達が辿り着いたのは、弥生時代にでも在りそうな村だった。家の造りが簡易的で、村の周囲を柵が取り囲んでいる。住人もチラホラと確認できた。
ちなみに、村の規模はあまり大きくないようで、目的地にはすぐに着いた。
「婆や、俺だ。カズマだ」コンコン
カズマは目的地である家の扉を叩く。その家は他の家と大差ない造りで、特別な感じは見受けられない。
「お入り」
扉の向こうから女性の声がした。カズマが「婆や」と呼んだ割には、声は若々しい印象である。
「「失礼します」」
カズマがドアを開けるのに合わせて、晴登達は挨拶をする。その時顔を上げた晴登は、やはり第一印象は裏切らないのだと知った。何せ、目の前で椅子に座っているのはお婆さんなどではなく、まだ二十代程のお姉さんだったのだ。
「よく来たね」
「紹介するぜ。この人が俺を
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