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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
巫女学科
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七十九番目の巫女クラスの生徒だ。

「君が異例というわけだが――」
「はい、それは――」

 同調性共鳴症(シンクロニシティ)。能力者を媒体におたがいの霊力を同調させて共有する、一種の特異体質。
 桃矢の場合、おたがいの気持ちが昂ぶった状態で唇が触れると霊力が同調し、一人の体に二人分の霊力が共有され、場合よっては共鳴効果により増幅することもあるという。

「聞いたことのない力だな……」
「はい、大友先生もそうおっしゃってました」

 その異能の力ゆえ誰にも相談できず、その筋の蔵書が多い図書館や書店を巡り、文献を調べているうちに大友陣に見出された。
 不明な部分の多い能力。呪術を心得ない者たちに下手に保護されたら事故もありうる。桃矢個人の学校生活を保ちつつ、この能力と向き合うには陰陽塾巫女クラスが一番と判断され、直々の推薦を受けた。そういう話だ。

「クラスのみんなは僕の監視役兼護衛役、だそうです」
「そいつは凄いな。喜べ、超VIP待遇だ。なんせ見習いとはいえ陰陽じ――じゃなくて巫女さんが、呪術者が総出で護衛だなんて、そうそうないぞ」
「女の子に守ってもらうなんて、複雑です……」
「役得だと考えろ。ハーレムアニメの主人公状態じゃないか。だいたいどうしてわざわざ巫女クラスに男の君を……。そうか、神憑りか!」
「あ、大友先生もそんなこと言ってたような」

 人の心。すなわち魂に働きかける術はきわめて危険だ。少しでもあつかいを誤れば術者のみならず対象の精神を壊しかねない。霊的な同調効果のある呪術が存在したのなら、まちがいなく帝式に組み込まれ、禁呪指定されてもおかしくはないだろう。
 そのような能力を持った者をあえて巫女クラスに編入した理由。それは彼女たち巫女が神憑り。神霊の類をおのれの身に降ろす素養を持ち、普段からその訓練をしているため、魂に一種の耐性があるからでは。秋芳はそう読んだ。

「その力、ちょっとここで試してみないか?」
「ええっ!? ダメですよ、大友先生から能力の使用は禁止されてるんです」
「ほう、それは意外だな。あの人の事だから『持って生まれた力を忌避したらあかんで。力を抑えるのではなく制御する方向で修練をしたらええ』とか言いそうなのに」
「ああ、たしかにそんなこと言ってましたけど、まだ時期尚早とか……」
「判断を人に任せていいのか? そんな悠長なこと言ってたら、いつまで経っても問題が解決しないかも知れないぞ。古人曰く『奇跡を待つより捨て身の努力よ』だ」
「でも、もし他の人に知られたら……」
「この部屋の呪的防御が施されている。ちょっとやちょっとの術で、いや派手にドンパチやったとしても周りにはそうそう気づかれないさ」
「わ、わかりました。それじゃあどこにキ、キ、キ……」
「樹木希林?」

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