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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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気をつけろ。俺が相手をしている間にも、妙なちょっかいを出してきそうだ」
「……ん、わかった。天馬のことはあたしにまかせて」
「それと、とびきり頑丈な結界を張っておくんだ。大技を使う」
「そんなに手強い相手なの?」
「ああ、強い」

 御座の間の中央。果心居士と対峙する秋芳。

「ようやっとその気になったようじゃの。良し良し! しかし実にあっけない。あの小僧め、おぬしと一戦するかと思いきや、儂の与えた力をろくに振るいもせずに退くとは……」
「天馬はあんたが思ってるほど馬鹿じゃないってこった」
「ふむ、ところで今さっき小僧に殴られたおり、おぬしはなにか術を使ったはずじゃ。そうでなければあの勢いで殴られて無事ではすむまい。いったいどのような術をもちいたのじゃ?」

 硬功夫。あるいは鉄布衫功と呼ばれる気功術。体内の気を張り廻らせて肉体を鉄のように硬化させる術。長続きするものではないが、上手く呼吸を合わせれば小口径の銃弾くらいは防ぐことが可能だ。
 思わずそのようなことを口にしようとして、とどまった。
 なぜそんなことを今から戦う相手に教えなければならないのか?

「あー、なんもしてないね。あのシチュエーションでこっそり防御するとか、かっこ悪いだろ? そんなことしないって。黙って普通に素直に殴られたからね、俺は。……つうか今の甲種言霊か。つくづく人の頭をいじるのが好きなじじいだな」
「ふむ、さすがに効かぬか」
「あたり前だ」

 秋芳はふと思う、能力バトルもの作品に登場するキャラクターの中には、戦いの最中にもかかわらず、自分の能力についてベラベラと説明する者がいるが、どうしてそんな種明かしをするのだろう? 
 勝ってもいない相手に手の内をさらすなど愚の骨頂ではないか。
 視聴者や読者に能力について説明したければ、ナレーションを入れるか、心中のモノローグで言わせればいいのに、と。

「では、ゆくぞ。――近ごろはこう言うのだったな、急急如律令(オーダー)
 果心居士が手にした杖を無造作に放り出した。杖は中空で大きな音を立てて砕け散り。その木片が無数の杭となって襲いくる。

「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、前、行!」
 臨む兵、闘う者、皆陣を列べて前を行く。秋芳は神仙系の早九字を高速で結印し、格子状をした呪力の防壁が出現。飛来する杭をすべて防いだ。

「まだじゃ」

 食い止められた杭が蛇に変化し、呪壁を食い破ろうとうごめく。

「花淵善兵衛通りゃんせ!」

 岩手県の民間伝承に伝わる蛇除けのまじない言葉。秋芳はそれに呪力をくわえることで本物の『呪』に仕立て上げた。以前にもちいた雷除けの『くわばら』同様、たんなる力づくの甲種言霊ではない精巧にして玄妙な言霊術。
 蛇たちはいっせいに動きを止め、床に落
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