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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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うな無礼、断じて許さぬ」
「……無礼はどっちだコラ。人様をかどわかし、くだらん座興につき合わせようとする。そっちこそ無礼千万だろうが」
無礼に無礼で返すのは、畜生の所業。という言葉があるが、礼を欠く者に礼は要らん。という言葉もある。かしこまった口調を改め、怒気もあらわに果心居士をねめつける秋芳。
「存外つまらぬことを言うの。儂らの世界において『礼』とはすなわち『技』を指す。『技』とはなにか? 古くは神と人、のちには人と人とのつながりによってずる力。それを良くもちいるための技、作法、式こそ『礼』じゃ。おぬしの言うところの道徳だの礼儀作法だのも、もとを正せばこれにあたるがの。あいにく儂らの世界では『礼』はより原始の姿でもちいられる。技のともなわぬ形だけの『礼』など、たんなる懇願。いっそ無礼じゃ。儂はここでそのような『礼』をつくす気はない」
「破落戸の屁理屈ね」
「ああ、まったくだ。今の屁理屈を孔子様にむかって言ったらどんな言葉が返ってくるだろうな」
「なんとでも言うがよい。そちらにその気がないのなら、その気にさせるまで――。秀頼様、いやさ百枝天馬よ!」
「ええッ!? ぼ、僕?」
「――すべての中心がおのれであれば、おのれを活かせば世界も生き、おのれを壊せば世界も滅びるが道理。ならばおのれの思うがままに生きれば、それこそが世界を支配することに他ならない。誰にも負けることはない。勝つ。負ける。それは心のありよう。欲しいものを手に入れ、不要なものを壊す。おのれが世界の中心なのだ。手に入らぬものはいらぬもの、壊せぬものは必要なもの――」
「天馬! こいつの言葉なんて聞いちゃダメ!」
「おのれの思うがままに生きる力。欲しくはないか? 欲しければくれてやろう。目覚めよ、目覚めよ、目覚めよ。力よ、目覚めよ……」
果心居士の言葉。その一言一言が呪詛となって天馬の心を侵し、脳を蝕む。
ふたたび虚ろな表情を浮かべ、うなだれる。
「……ごめん、秋芳君。僕はやっぱり君がうらやましい。君の力がうらやましい。僕は君みたいな力が欲しいんだ。ごめん、ごめん、ごめん、ごめんごめんごめんごめんごめんごめん――――」
謝罪の言葉を連呼する天馬の身体に妖気が満ち、みるみる巨大化していく。身につけた朱金色の衣冠束帯にラグが走ったかと思うと、それは豪華な衣装から一転、武士の甲冑へと変わった。
やせていた少年の身体は三メートル近い巨躯へと変貌した。
「どうじゃ? 頭の中をいじるとは、このようなことを言う」
「うそ、でしょ……?」
「……人の心には誰しも陽と陰がある。風の流れや川のせせらぎなど、この世界を形造る森羅万象にも同じように陽と陰がある。その陰に見入られた者は外道に堕ちると言われている。人ならざる、異形の存在へ。その法は外法と呼
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