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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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鏡をかけたのは、なにを隠そうこの儂じゃよ」

 日本へ眼鏡が伝わったのは1551年。イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルが周防の大名、大内義隆に献上したのが最初とされている。また室町幕府十二代将軍の足利義晴が所持していたという眼鏡は現存しており、これが日本最古の眼鏡ということになる。

 この老人は室町時代から生きていると、そう言っているのだ。

「わたくし、賀茂秋芳。陰陽の先輩に挨拶もうしあげます。さて? 先輩のことはなんとお呼びすればよろしいでしょうか?」
「ちょ、ちょっとちょっと、秋芳君。なんでそんなにかしこまってるのよ!?」
「相手は一応お年寄りだからな、とりあえずは礼をつくすさ。俺は敬老の精神を持ち合わせているんだ」
「ふぅむ、儂の名か……。さてさて、なんと名乗ろうかのう? 加納随天か天竺徳兵衛か仁木弾正か、多くの者が多くの名で呼ぶゆえ、名乗りにこまるのう」
「では……、果心居士とでもお呼びしましょうか?」
「ほ! これはまた懐かしい名じゃ、たしかにそのように呼ばれ、名乗っていた時もあったわ」
「果心居士って、まさか本物……?」

 果心居士とは七宝行者とも呼ばれる室町時代後期の呪術師で、特に幻術に長けていたという人物だ。今の世の人ではない。

「その果心居士がなぜ私の友人をかどわかすような真似をするのです?」
「なに、ほんの座興よ。あちらこちらを歩いておると、呪の道を歩まんとする雛を、おぬしらを見つけたのでな、ついついからかいたくなってしもうたのじゃ」
「人が悪い。さらうだけならともかく、頭の中をいじるのは感心しませんね」
「いじってはおらぬ。少々なでた程度じゃ」
「――ッ!」

 老人、果心居士に食ってかかろうとする京子だったが、秋芳に目で制される。

「座興はこれにておしまい。私たちは帰りますので」
「まぁ、待て。せっかくじゃ、もう少し遊びにつき合ってもらおう」
「いい加減にしてください」
「術くらべなど、どうじゃ? 先ほどのおぬしの持禁といい、嬢ちゃんの反応といい、そこの『秀頼様』とは大ちがい。雛だと思いきや、たいした成鳥よ。これは久々に楽しめそうじゃ」

 秋芳は無言で京子と天馬をうながし、二人を先にしてその背をかばうように退出しようとする。

「行かせぬよ――」

 目の前の戸が消え、壁になった。

「幻術!?」
「いや、これは本物の壁だな。部屋を、この空間を直にいじったんだ」
「なんでもありね、もうっ」
「ごめんね秋芳君、ごめんね京子ちゃん。僕が捕まっちゃったからこんな目に、僕のせいで、ごめんね……」
「天馬があやまることはないわ。悪いのは百パーセントあのジジイなんだから」
「そうだぞ天馬、おまえにはなんの落ち度もない」
「クツクツ、行かせぬよ。さよ
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