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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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ち消そうとする。
だがその直前。京子は呪力を投与してつる草と化した木行符の術式を組みかえた。
バチリッ。
紫電がほとばしり、つる草から一変、雷の鞭と化した木行符が老人の体を打った。
かに見えたのだが、雷は老人の手にした針に吸い込まれていた。金行符を針に模して、文字通り避雷針にしたのだ。
「雷とて木気は木気。金気で剋するのが道理よ。あわてて下手を打たなければ造作もない。しかしその齢で雷法をあつかえるとは珍しいのう、これは愉快。なかなか楽しめそうじゃ」
老人はそう楽しげに言ったが、その口ぶりが楽しげなのに反して表情はまったく変化しない。機械的に唇が動き言葉を口にしているだけ、まるで口だけが機械仕掛けで動く能面のようだった。
「それ、返すぞ。風っ」
手にした針を大きく振るうと、墨を溶いたかのような重たい風が強烈に吹きつけた。漆黒の颶風が御座の間を吹きすさぶ。
「
急急如律令
(
オーダー
)
」
激風の中、一枚の呪符が舞った。金行符。
風は木気と金気のいずれかに属する。これ見よがしに針を振るう動作で金行符を打ったかのように見せて、実際は木気の風術をもちいたのを、京子は瞬時に見抜いていた。
金剋木。五行相剋の理にもとづき、漆黒の風は相殺される。
「あわてて下手を打たなければ造作もない。だったわね。そんなせこい手は通用しないわよ」
「ほっ! 目ざといのう、お嬢ちゃん。クツクツクツ……」
秋芳は不気味に笑う老人の姿をあらためて見る。杖を手にしているが足腰が悪そうには思えない。 まっすぐに伸びた白い髪に白い髭は鶴のような印象を感じさせる。まるで闇夜を切り取ったかのような漆黒の小袖と羽織。なにより不気味なのは老人のかけている血のように赤いレンズの入った眼鏡だった。眼鏡といっても現代の眼鏡ではなく、時代劇に出てくるような紐つきの鼻眼鏡だ。
霊力はほとんど感じない。もちろん無いのではなく、隠しているのだ。これほどの隠形の使い手は秋芳が今まで直接会った中では担任講師の大友陣くらいだろう。
(いや、それ以上かもな……)
内に秘めた巨大な霊力がひしひしと伝わってくる。見鬼で感じているのではない、これは本能が知らせているのだ。
こいつは、強いと。
さらに――。
(霊相が微妙にずれている?)
どうも身におびた霊気の形や流れが妙だ。どこがどう妙かと説明はできないが、おかしい。人の気ではない。
この老人、人にあらず。
「ご老人のその眼鏡、ずいぶんと古そうですが、鼈甲ですか?」
「む? おう、いかにも。これは天文の頃より愛用しておる
玳瑁
(
たいまい
)
作りの年代物よ。宣教師よりちょうだいした、本物の舶来品じゃ」
「ハイカラですね」
「あの当時はの。義隆や義晴よりも先に眼
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