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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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得できても心が許さぬこともある」
「難儀なじいさんだな〜、まだやろうってのか?」
「然り。ただもう術からべなどとは言わぬ」
「ほう? じゃあなんだブチ切れたから全力でケンカでもしようってか?」
「さような散文的な言いようは好かぬ。存分に死合おうぞ!」
「死合うって、中二かよ!」

 果心居士の両腕が、折れたはずの腕が流れるように空中に呪印を描く。幾重にも幾重にも――。

「積層型呪印とは大仰な…。京子!」
「は、はい!」
「動かなくていいから、ちょいと力を貸してくれ。その場から援護を頼む。やり方はおまかせだ」
「わかったわ、まかせてちょうだい!」

 彼と一緒に戦える。彼の手伝いができる。彼の背中を守れる……。喜びが胸の奥から生じ、さきほどの怖さ、悲しさはいっぺんに吹き飛んだ。
 積層型立体呪印。禍々しい紋様をしたそれが脈動し、そのたびに大きく膨らむ。そして、爆ぜた。
黒い奔流がほとばしる、それらはたがいに絡まり密集し、異形の姿を形作る。
 一体、二体、三体……。たくさん。

「かの鵺殺しの源頼政とて、平氏の大軍の前には敗れた。さぁ、おぬしはこの数にどう対抗する?」

 累々たる物の怪が、式神とも動的霊災ともわからぬ化け物どもが現れた。
 ひとつ目の大入道、脚が一本しかない犬、ふたつ首の女、足のある蛇、手足の生えた琵琶、角ひとつあるもの、角ふたつあるもの、牛ほどもある蝦蟇、馬の首をしたもの、這うもの、踊るもの、顔のないもの。
 口だけのもの、後ろに顔のあるもの、首だけで宙を飛ぶもの、ぬるぬるとしたもの、長きもの、短きもの、翼あるもの、足で歩く壺、絵より抜け出した薄き女、足なくして這う狼、腕四本あるもの。
目玉手に持ちながらゆくもの、身体中に乳房ぶらさげたる女、数知れぬ蟲、手足のある目玉、髪の毛だけのもの、腐りしもの、骨だけのもの、肉だけのもの、得体の知れぬものども……。
 同じ形状のものは一体としていないが、全体としての印象は似通っている。それらは現代の霊災ではなく、はるか昔の平安の夜をうごめき、跳梁跋扈していた妖怪変化の群れ。百鬼夜行を彷彿とさせる。いや、百鬼夜行そのものだった。
 まぼろしの城を照らす蒼い月光の下、百鬼夜行が牙を剥く――。





「東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は禺強。四海の大神、百鬼を避け、凶災を蕩う。急急如律令(オーダー)!」

 京子の打った五行符が光を放ち、呪符同士を結びつけ、光の呪印セーマンが煌めいた。その燦然たる破魔の霊気に照らされ、式神たちが絶叫しながら目を覆い、退散する。中にはそのまま消滅してしまうものさえいた。
 汎式ではない、夜光の作り上げた帝国式陰陽術にある百鬼夜行を避けるとされる秘術。

「なんと
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