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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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「おぬしの呪、倍にして返すぞ!」

 影が大きく伸び、うねり、漆黒の竜と化す。その咢には秋芳の苦無が牙となってならんでいた。
 影の竜が猛烈な勢いで秋芳を喰らわんと迫る。それはまるで黒い瀑布のよう。

「オン・ロホウニュタ・ソワカ」

 一千もの光明を発することによって天下を照らし、その光により諸苦の根源たる無明の闇や悪鬼邪気を滅尽するという日光菩薩の真言。
 眩い閃光が奔り、影の竜はあっけなく消滅した。秋芳の簡易式符のみがたゆたう。

「なんと、光か」
「そうだ、光だ」

 秋芳は自分の簡易式符を回収しつつ、うんざりした顔で応える。

「なるほど、まんべんなく光をあてれば影は消える。その手があったか」

 あと真っ暗闇にして影そのものを消すことでも影縫いから逃れられるけどな。そう胸中で思うもけっして口にはしない秋芳。

「愉快、愉快、ぬしとの術くらべ。まことに面白し。さぁ、続きじゃ」
「……いや、勝負あっただろ」
「なにを言う。儂はこのとおり健在ぞ」
「完全にかかった術を術理にもとづき解くのではなく、力づくでどうこうした時点で、この術くらべ。呪術勝負はあんたの反則負けだろ、じいさん」
「否。力業もまた技なり。呪術者が目的のためにもちいるのなら、それがなんであっても呪ぞ」

 ビキリ。

 これがコミックだったらこめかみに怒筋マークでも浮かんでいたことだろう。さんざん術くらべ術くらべとごねたから、しぶしぶ『術』限定で相手をしてやって、なおこのようなもの言いをする。
 年寄りだろうと人ならざる存在だろうと、もはや加減はいらぬ。秋芳はそう決めた。

「……そうかい、なら俺のこれも呪だな」

 すっ、と歩を進める。次の瞬間、果心居士は両腕をつかまれていた。

「ぬっ?」
「ふんっ」

 投げた。
 相手の両腕を肘が下になるよう逆に交差させて極め、そのまま背負い投げたのだ。受身を封じるどころか投げた瞬間に両肘の関節を破壊し、脳天から地面に叩き落す。実にえげつない殺し技だ。
 いやな音を立てて地面に激突、その体にさらにストンピングのかかと落としを放つ。顔面が眼鏡ともども打ち砕かれ、血に染まる。
 白髪をむんずとつかみ、持ち上げたあと、思いきり下に引き落としながら右膝を蹴り上げる。鼻の軟骨が内側に陥没する感触。さらに――。
 蹴る、殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、蹴る、蹴る、蹴る、殴る、蹴る、蹴る、殴る、殴る、殴る、蹴る、蹴る、蹴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、殴る、蹴る。
 さらに、蹴る。
 そして、殴る。
 また、蹴る。
 一方的に振るわれる暴力の前になすすべもなく、老人の矮躯はボロ雑巾のようにわやくちゃにされ、地面をころがる。

「うっ」

 その光景に思わず
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