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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 1
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 と、気のないつぶやきをもらす。
 どんな返事をするか正直迷ったが、とりあえず『すごいわね』と送信しておいた。

「そういや天馬って、子どものころはプラモデルとか作ってたっけ。秋芳君のも同じメール?」
「ああ。そうなんだが……、むぅ……。まず、ちょっとジェラシー」
「はい?」
「君は子どもの頃の天馬を知っているんだな」
「ん、まぁ天馬の家も陰陽道の旧家だし、その関係で少しわね」
「天馬も子どもの頃の君を知っている」
「まぁ、あたしがむこうを知ってる程度には、むこうもこっちを知ってるんじゃないかしら」
「俺の知らない君を知ってる人がいることに少し嫉妬」
「あら! うっふふふ、やぁ〜ねぇ。そんな子どもみたいヤキモチ焼かないの。あなたとの思い出はこれからいっぱい、い〜っぱい作ってあげるわ。未来のあたしを、この倉橋京子を独り占めできるのよ? だからそんな些末なこと気にしちゃダメよ、秋芳君」
「未来だけでなく過去も独り占めしたい」
「贅沢ねぇ、タイムスリップする呪術でもあるわけ?」
「う〜ん、どうだろう? ま、必要があるのになければ作るのみだが」
「…ねぇ、もし時間を遡ることができたら、いつの時代に行ってみたい?」
「そうだな、古代エジプトの赤ビールやボヘミアンたちが飲んだ本物のアブサンを飲みに行きたいな。あと張飛の作った保寧圧酒もどんなものか味見してみたい」
「お酒ばっかりじゃない! 少しは陰陽師らしく安倍晴明や土御門夜光と会ってみたいとかないの?」
「ん、あとは実際の安土城を……、て、そうだ! 城だよ城! 天馬のやつ、凄いものを作ったなぁ。この模型、相当手が込んでるぞ」

 メールに添付された画像をまじまじと見て感心する秋芳。

「この造りと天守閣の鯱から察するに、これは名古屋城だな」
「へぇ、わかるんだ」
「惚れ惚れするなぁ……、こういうのを作れる、創造できるのは本当に凄いよ。ある種の神の御業だよ」
「いくらなんでも言いすぎじゃない?」
「いいや、そんなことはない。想像し創造する。これは呪どころか奇跡だよ」
「そ、そう?」
「ああ、そうさ。絵画でも模型でも文章でもなんでも。無や、それに等しい状態から有を生み出す。これこそ人の持つ『真の』呪の力じゃないか」
「…………」
「なぁ、京子。これから天馬の家に行ってもいいかな?」
「ええっ!? あたしとの訓練は?」
「君との時間は未来に大きく広がっているんだし、ちょっとくらいいいだろ?」
「ん、もう……。しかたないわねぇ、じゃあ、あたしも行くわ。この模型がそんなに凄いのか、自分の目で見て確かめてみたいし」
 こうして二人は天馬の家に行くこととなった。





 護国寺にある百枝家。
 天馬には自宅に行くと連絡を入れて了承を得たが、ま
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