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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 1
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?」
「…………」

 二人だけの秘密の場所。秘密基地。なかなか魅力的な響きだ。

「ねぇ、いいでしょ? 入りましょうよぉ、お願い……」

 京子の甘い猫なで声が秋芳の脳を痺れさせる。それは甲種言霊以上の呪力を発揮し、心を揺さぶった。
「うんそうだな……。うん、そういうおイタができるのも、学生のうちだけだし、入ってみるか」
「やったー☆ で、鍵開けの術ってあるの?」
「ある。俺の場合は鍵を禁じて開錠させることができるし、扉や鍵を一種の結界に見立てることで、結界を破る術を応用して開けさせることが可能だ。器用なやつなら鍵穴に入れると形を自在に変化させる鍵を簡易式で作り出すことなんかもできる」
「へー、今さらだけど呪術って便利よね」
「あればあったで便利だが、なくてもなんとかなる。しょせんはその程度だけどな」
「それって陰陽師にあるまじき科白じゃない?」
「陰陽師だからこそだよ。呪術師というのは術を使うのであって、術に使われてはいけない。ましてや術に『憑かれる』なんてことは絶対にあってはいけない」
「甲種呪術にこだわらず視野を広く持って物事に柔軟に対応すべし。でしょ?」
「そう。呪術なんてのは人類の生み出した技術の一つ、道具の一つ、問題を解決する手段の一つにすぎない。それにばかりこだわる必要なんてまったくない」
「……呪術師が目的のためにもちいるのなら、それがなんであっても『呪』……」
「お、なかなか含蓄のある言葉じゃないか。教科書に載せてもいいくらいだ」
「あたしが陰陽庁のトップになったら載せとくわ」
「ぜひそうしてくれ。呪術師だからこそ、呪術にこだわってはいけない。てね」

 そんなやり取りをしているうちに件の訓練場に着いた。
 公民館や体育館を思わせる外観で、内部は現在の陰陽塾にある地下呪練場と似たような造りをしていた。
 廊下を抜けた置くにはバスケットコート三面分ほどの広さのアリーナあり、高い位置にある窓から外の光が差し込むので以外に明るい。だが、さすがに埃が目立つ。今すぐここで激しい運動をするのは体によろしくないだろう。

「空気の入れ替えと清掃が必要だな」
「そうね、とりあえず今日はお掃除だけしときましょうか」
「だな」

 陰陽塾では掃除を始め、雑用全般用に『モデルM1・舎人』という汎用式を多く使用しているが、あいにくとそれらの持ち合わせはないので、手持ちの簡易式を使い清掃にあたらせた。人の形をした影法師たちがせっせとあたりを掃除しだす。

「……さて京子。ここで質問だ」
「え?」
「孫子の兵法に『拙速は巧遅に勝る』という言葉があるが、呪術の場合はどうだと思う?」

 秋芳はそう言いながら、口訣も導引も結ばず不動金縛りをみずからの簡易式に放つ。
 影法師は数秒ほど動きを止め、ま
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