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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 1
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をあびるのには慣れてない」
「ふーん……、それじゃあ、ねぇ。この後は二人っきりになれる場所に行かない?」
「お! いつになく大胆かつ積極的だな。ついに婚前交渉する気になったのか?」
「もう、ちがうわよバカ。そうじゃなくていつもの訓練よ」
「好きだな、訓練」
「あなたに逢って呪術の奥深さを実感したのよ。自分が学ぶことはたくさんあるって」

 これまでの京子の十六年。もうすぐ十七年間、倉橋家の娘としての自覚を持ち、日々鍛錬し、勉強してきたつもりだ。
 けれどもここ最近ほど本気で勉強したことも、したいと思ったことはなかった。そして本気で学べば学ぶほど、自分がどれだけ『より学ばねばならない』かを痛感していた。
 それは秋芳と出会ってからだ。彼と出会ったのち、いくつかの霊災に遭遇し、相手にするたびに力量不足を実感してきた。
 ついには如来眼の力に覚醒し、霊力こそ大幅に上昇したが、強大な力を手にしたからこそ、その〈力〉を制御するための力。知識や技術が必要だと真摯に思う。
 学習することはほんとうに、あきれるほどたくさん、いくらでもあった。
 呪術は奥深く、広大だ。京子はそのことをようやく実感でき始めている。

「――だからあなたのせいなの。最後まで責任持ってつき合ってちょうだい」
「なにが『だから』なのかは理解できないが、君とならなんでも、どこまでもつき合うつもりだよ。じゃあこれから陰陽塾に行くか?」
「ううん、別の場所」
「ほう? そりゃ気分転換になっていいな。同じ場所ばっかりじゃ、さすがに飽きる。で、どこに行くんだ?」
「旧陰陽塾の塾舎よ」

 陰陽塾そのものは半年近い歴史があるが、現在京子たちが通っている塾舎は去年建てられた新しい塾舎だ。それ以前は同じく渋谷にあった塾舎が利用されていた。そのことを言っている。

「ほう! 旧塾舎か、旧校舎みたいでなんかいいな。俺は旧校舎って響きが好きなんだ。なんかこうノスタルジックというか郷愁を誘うよな。あと地下に不思議空間が延々と広がってて、レアなお宝とか落ちてそうだし」
「あら残念ね、正確には旧塾舎跡に隣接する甲種呪術の訓練場のことなの。旧塾舎自体はもう取り壊されてて、別の建物が建ってるの」
「そうか……」
「でもその訓練場は閉鎖されたまま残ってるから、それを使わせてもらうわ」
「うん、面白そうだ」
「でしょ? で、秋芳君。鍵を開ける術とか知らない?」
「おい、不法侵入するつもりか? そういうのはちゃんと許可を得てからだなぁ」
「関係者以外立ち入り禁止になってるけど、あたしたち塾生は関係者だから問題ないわ」
「施錠されてるのを無許可で開けたらいかんだろ」
「もう、変なところで堅いのね」
「俺はもともと真面目だからな」
「二人だけの秘密の場所、秘密基地が欲しくない
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