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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
奇門遁甲(乙種)
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いて対応できる。そういうことや」
「……彼は、そんな類の実戦を想定した課題を僕らにぶつけてきたということですか?」
「そや」
「馬鹿げている。と言いたいところですが、確かにそれも一理ありますね……。でも――」

 一拍おいて口にする。
「やっぱり、今日のこれは馬鹿げていると思います」





「なぁ、秋芳。これってなんとかならないのか?」
 中島は全身にこびりついた粘液を気持ち悪そうに見下ろして、そう言った。携帯電話を耳にあてたままの姿勢で木の幹に接着されている。他のメンバーも似たような状態だった。
 無理にはがそうとすれば確実に着ている服をダメにしてしまうし、生身の肌だったら皮をもっていかれ、痛い思いをすることになる。

「時間がたてば自然に朽ちるし、水をそそげば離れる」
「じゃあ、そうしてくれ」
「あと十分もすれば離れるさ、水がもったいない」
「ちぇ、ケチ。……つか、この接着剤? なにでできてんだ?」
「主な材料は膠だな」
「ふ〜ん、じゃあ、今の爆発。火薬はどうしたんだ?」
「硝石と硫黄に木炭、それとその他もろもろ。基本ホームセンターにある材料で火薬が作れるんだから、おっかない時代になったもんだ」
「ほんとだよな」
「だがきちんと安全面を考慮して作ったんだぞ。その証拠に音と煙しか出なかっただろ」
「たしかにそうだな」
「で、この授業の話に入るが」
「おいおい、こんなの授業って言い張るのかよ」
「立派な授業だよ。日頃から慣れ親しんでる呪術が使えないとどれだけ不便か、呪術を使わない相手でも地の利や道具、これは罠のことな。を活かせば苦戦するって体で理解しただろ? で、さっきの講義で俺は孫子の兵法の話をしたが、そこで『半進半退者、誘也』半ば進み半ば退くは誘いなり。て言ったよな?」
「あー、たしかにそんなこと言ってた」
「これ見よがしに姿を見せて、わざわざ足跡をつけて山中に潜んだんだ。次からはもっと警戒しなければいけない」
「おいおい『次』なんてあるのかよ…」
「こういう経験は大事だぞ。俺の好きな映画に『300〈スリーハンドレッド〉』というのがあるが、作中で『訓練で汗を流せば、戦場で血は流れない』という科白があるんだ。名言だよ、あれは」

 そう言って秋芳は木々の中へと消えていった。





 秋芳がいるであろう小山を目指す春虎と冬児。

「帰ってきたみんなの話だと、どの罠もケガをするような類のものじゃない。でもって罠にかかったら退場。なんて決まりもない。てことは罠にかかっても気にせず進めばいいんだよ」
「猪突猛進だな、春虎。だがたしかに言えてるぜ。ここはひたすら前進あるのみだ」
「おう! 都会の坊ちゃん嬢ちゃんにはない、田舎育ちのガッツを見せてやる」
「おいおい俺は東京
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