Side Story
少女怪盗と仮面の神父 49
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てました。けど、肝心なハウィスには何も言ってないんですよね?」
「守りが堅いからな。今や立派な子持ちだし、正面から切り込んでも勝てる気がしない」
「おおぅ、なんとも反応しづらい現実! じゃあ、村に残ったのは」
「いや、それは趣味が実益を兼ねてたってトコ。姐さんと知り合う前に、植物学者から農業の基礎を学ぶ機会があったんだよ。以来、勉強自体が楽しくてな。姐さん達の所でも頭脳派を気取ってた。で、ネアウィック村に移民した後は、この知識と人並以上に鋭い嗅覚を当時の村長に買われて、あの農園を任されたってワケ。村の人間に獲られるくらいなら、あわよくば……と思わなくもなかったが、未婚の母はさすがに予想外だったな」
「あははー……申し訳ありませんっ」
「いや。こんなに可愛い娘なら大歓迎だ。いつでも帰っておいで」
坂道の上方から頭を下げる仮従業員に、雇い主はふんわり微笑みながら右手を差し出した。
さりげなく付け加えられた言葉で、うっかり眼球を潤ませてしまいそうになる。
「……お母さんを、よろしくお願いします!」
上半身を跳ね起こした勢いのまま彼の手を両手で握り、ぐぐっと力を籠めた。
「任された」
彼も、痛くない程度の力で応じてくれる。
「さて。お役目を果たしに行くか。着替えは持ってきてるのか? 長衣のままじゃ動きづらいだろ」
いつか何処かで再会した時は、四人家族になっていたら良いな、と
「大丈夫です! 下に作業着を着込んでおいたので!」
「……この暑い時期に重ね着してて、よく倒れなかったな」
「あははー。自分でも早まったなぁとは思ってました。」
風に揺れる木々の狭間で、そんな綺麗な、夢を見る。
今日は、ミートリッテがネアウィック村で眠る最後の日。
「麦酒! こっちに三本頂戴!」
「はーいっ!」
「生魚が切れたー! ちゃちゃっと獲って来いよ、クナートぉ」
「アホか! てめぇで獲って来いや!!」
「はいはい。冗談は其処までだよ、莫迦男共! 使わない食器は自分で下げな!」
「俺ら、酔っ払ってるからムリでーっす!」
「そーそー。千鳥足で一枚残らずバリンバリンに割っちまうぞ! なんてな!?」
「「がはははは!!」」
「ほっほーう? 明日から砂の上で生魚掻っ捌いてそのまま口の中に捻じ込んでも良いって言うんだね? いーい度胸してんじゃないのさ、ああん?」
「「ワルノリシマシタスミマセン」」
欠けた月が輝く夜の中央広場で、村民達は地面や階段に座り、闇の訪れを拒むが如く大量の松明に炎を灯しながら、歓喜の声を響かせる。
「あら? 神父様は?」
「さっきはあっちに居たわよ」
「ねー! ミートリッテ、こっちに居ないー? 料理を追加して欲しいんだけどー」
「ああ、ご
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