Side Story
少女怪盗と仮面の神父 49
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扮していた第三王子と第二騎士団の小隊。それに、村外で待機している第三騎士団の小隊と、彼らに拘束されている暗殺者達。
加えて、本日正午から新任領主・ハウィス=アジュール=リアメルティの正式な護衛役となった、十二人編成のリアメルティ騎士団だ。
正体は言わずもがな、彼らしかいない。長年の諜報活動と今回の捕り物騒動に於ける功績を称え、エルーラン王子が直々に手を回して出世させたとのこと。
本人達に言わせれば「窮屈な制服を毎日着ろとか、スゲー迷惑。」らしいが……村の人達が今日の明るさを早々と取り戻せたのは、顔見知りの彼らが揃って元気に帰村・領守に着任したからでもある。
元々エルーラン王子に認められていた実力者達。寄せられる信頼も大きいようだ。
なお、マーシャルは今だに眠っていて尋けないので彼らに確かめてみたところ、「アムネリダ」の意味は「恋人」だと答えられた。
直後、船上でのあれ……演技? だよね……? と、疑問が顔に出てしまったのか、お嬢には五年早ぇよと爆笑された。
この件に関する真相は、五年後でも十年後でも知りたくないと思う。
「おお。お疲れさん」
「……あ! お疲れ様です、ピッシュさん!」
菜園を通り、果樹園への坂道に足を掛けた所で、後ろから来た雇い主の手に軽くポンと左肩を叩かれた。どうやら彼も、これから仕事場へ向かうようだ。
いや、既に何往復かした後か。今朝早くにも、坂道を上る作業着姿の彼を見ていた覚えがある。
「今日はずっと歩き通してただろ。足裏、辛くないか?」
横一列に並んで足を運んでいる途中、彼の目が此方の足下をちらりと窺った。珍しく開き気味な目蓋の隙間に見えた虹彩は、それでもはっきりした色を現さない。
「一時間くらいは座ってましたし、全っ然問題ありません! 例え痛くても気合で頑張りますよ。ピッシュさんの果樹園に行くのも今日で最後ですから。寧ろ、残業できなくて残念です」
「ははっ。普通は嫌われるモノなんだけどな、残業なんて」
「わぁ、勿体無い! 果樹園での仕事を嫌がるとか、人生の大損失ですよ! 手塩にかけた果実が傷一つ無く丸々と大きく、香り良く育った時の感動と言ったら、もう……! ああー……続けたかったなぁ」
「そうは言っても、果実の手入れより大切な仕事が見付かったんだろ?」
「はい。だから、甘えん坊な三つ葉の根を大好きな土から引っこ抜かなきゃいけないんです。遠慮無く放り投げてくださいね? 「嗅覚に優れた」「果樹園の監視者」様」
「んー。なかなか心が痛むなぁ」
晴れ晴れした笑顔を見せつけて「大丈夫ですよ」と言っても、彼は苦笑いで唇の端を持ち上げるだけ。
関係者は誰も示唆してない。が、語られた事実と現状と持ち歩いていた証拠の数々が、優しくも罪深い真実を自分に向けて指し示してい
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