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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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目を抜きにしても美人だと辰夫はつねづね思っている。
「ん…、ちょっと刀を磨いてただけさ。それより遅かったじゃないか」
「自主練してたから遅くなったの。で、送ってもらったんだけどお茶でも飲んでいってもらおうと思って…」
「父さんの知ってる子かい?」
「天馬君よ」
「ああ、百枝さんちの。あの眼鏡の子か…」
百枝天馬。
一色家と同じ旧家の出のためか、麗香とは幼い頃から仲良くしている。
「父さんが顔を出すと煙たいだろうし、挨拶はやめておくよ。あまり遅くまで引き止めるんじゃないぞ」
「うん、わかった」
そう言って部屋から出て行く麗香の心に一抹の不安が生じる。
数年前に亡くなった母親の血を色濃く受け継いだ麗香には見鬼の力がある。
その麗香は一瞬だけ『視た』のだ。
父の手にした刀が霊気に包まれていたのを。
ほんの一瞬。
ほんの一瞬だ。だからただの見まちがい。麗香はそう思うことにした。
娘が出て行った後、辰夫は無言で骨喰を正眼に構え、振り上げ、振り下ろした。
数メートル先の花瓶が断ち斬られ、水が流れる。
辰夫は凄まじい形相で前をにらみつける。
その顔には、鬼相が浮かんでいた……。
「こんな遅くまですみません逢坂さん。そろそろおいとまさせてもらいます」
宮田は手にしたブランデーグラスを卓に置いて、恐縮して頭を下げる。
「なになに、今夜は女房もいないし、遠慮せずもっと飲んでいってくれ」
バーを後にした逢坂と宮田は、場所を逢坂家に移してまだ飲んでいた。
「にしてもさっきの一色の顔。大の大人が泣きそうな目をして、面白いったらなかったな」
「ははは、あれは滑稽でしたね」
「他の事務員同様、分相応に真面目に働いていればいいものを、よりにもよって倉橋長官に近づこうなどと、身の程知らずにもほどがある」
「まったくです。陰陽庁で生粋の陰陽師でもない者が出しゃばるとは、図々しい」
「おっと酒が切れたな。持って来よう」
「いやいや、もう時間ですし…」
「帰ったらダメですよ! そんなことしたら一生恨みますからね」
ふらふらとした足取りで酒を取りに部屋から出て行く逢坂。
残された宮田はおとなしく待つことにした。
するとどさりとなにかが倒れたような音を聞く。
(酔って倒れたのかな? やれやれしょうがない。見に行くか…)
廊下に出る。部屋の一つから明かりが洩れているので、そちらに向かう。
近づくにつれ、いやな臭いがしてきた。祓魔官として過ごしていた時代に幾度となく嗅いだことのある、むせかえるような金臭さ…。
血だ。
血の臭いがする。
「逢坂さん!?」
いそいで部屋に入ると、うつぶせに倒れている逢坂の姿があった。
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