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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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でしょうね」

 長い廊下が続く。
 何人かの職員とすれ違うが、霊気からしていずれも陰陽師ではない。
 陰陽庁に勤める者のすべてが陰陽師というわけではないのだ。
 むしろ資格を持たない一般人のほうが割合としては多い。

(こういうお堅い場所で穏形しながらエロいことしたら燃えるんだろうな。京子をコピー機の上に乗せて、おっぱいやお尻の印刷プレイとか…)
「えいっ」 

 秋芳の頭に京子のチョップが入る。

「痛いじゃないか」
「あなたがエッチなこと考えるからよ」
「そんなことまでわかるのか! 凄いな、星読みの力は」
「星読みじゃなくてもわかるわ。…あたし、あなたがどんな人か、かなりわかってきたから」

 あきれ顔をした京子だったが、不意に表情を改め、後ろを振り返る。

「どうした?」
「今、すれ違った人…。顔に鬼相が出てたわ」

 この場合の鬼相とは風水のそれではなく、恐怖、憎悪、悲しみといった負の感情が入り混じった悪相が顔に現れているという意味だ。

「…ここは多くの人がいて、たくさんの思惑や感情が渦巻く場所だからな。中にはそういう人も居るだろう」
「大人の世界は複雑怪奇、ですものね…」
「ああ。天下の陰陽庁も、一皮むけば万魔殿さ」
 
 陰陽庁。
 現代の陰陽師たちを管理・統括している国家機関。その前身は太平洋戦争末期に旧日本軍によって復活させられた陰陽寮だ。
 陰陽術関連の各種資格の認定。霊災の修祓や呪術絡みの事件捜査など、この国の呪術に関わる行政を一手に担っている。
 そして十二神将をはじめとする多くの優秀な術師を抱え、その組織としての力は非常に強大だ。

「――そんな場所でワイセツな行為をするんだ。想像しただけでグッとこないか? 気づいたんだが、ここって物理的な死角があちこちにあるんだ。ちょっと試しに――て、京子。足が速いぞ。おい待てって、そんなに怒るなよ」





 秋芳たちが陰陽庁に出向く数日前。
 暦の上ではとっくに秋だが、妙に暑い日があったと思えば、急に冷え込んだりする季節の変わり目。
 重く湿った夜空から冷たい雨が降り出した。
 一色辰夫(いっしきたつお)は舌打ちして駅へと歩く足を速める。
 不機嫌なのは雨のせいだけではない。

(上司のご機嫌取りも出世のため、将来のためだ……)

 下げたくもない頭を下げ、言いたくもないおべんちゃらを口にする。
 陰陽庁に勤める辰夫はそういう毎日を過ごしていた。
 陰陽庁勤務といっても辰夫自身は陰陽師ではない。見鬼の才もない。
 結婚した妻が陰陽師の家系で、そのコネで陰陽庁に就職することができたのだ。
 これからの日本で出世するには陰陽師との関係をおろそかにはできない。そういう算段で陰陽師の家に婿入りを決
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