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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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を。俺はおっさんを運ぶ」
「はいっ」
「う、うん!」
応接室のソファに二人を寝かせてから、骨喰を回収しようと部屋から出た秋芳の前に抜き身の刀を、骨喰を手にした若武者が立ちふさがる。
「我が名は藤四郎吉光。字名は骨喰。主、一色辰夫どのの敵は生かしておけぬ」
「……あんたに人を殺せと、一色辰夫はそう命令したのか?」
「すべて拙者の一存でしたことだ。主の手を煩わせるまでもない。わが主に仇なす輩は、すべて拙者が葬り去る。それが武士の務めだ」
陰々と響く声でそう告げると、手にした刀を八双に構えた。
強烈な剣気がほとばしり、室内を駆けた。
目に見えない氷の刃を突き立てられたかのような悪寒が走る。
「て、天馬!? どうしたのよ? しっかりして!」
背後から京子の声が響く。
どうやら天馬は骨喰の放った剣気にあてられ、意識を失ってしまったらしい。
「みずからの敵意や殺気を相手にぶつけることで『恐怖』を与え、身体の自由や意識を奪う術だ。人は本能的に刃物を恐れるからな、刀剣を出自とするあやかしのそれは特に相性が悪い」
松山主水という江戸時代初期の剣客は、この手の技とも妖術ともいえない秘技を会得していたといわれ、それらの術は『心の一方』『すくみの術』と呼ばれた。
「つうか京子。君は平気なのか?」
「平気よ。ちょっと寒気がしただけ」
「よしよし、上出来だ」
気による攻撃を弾くのは身に備わった霊力が強い証。京子は確実に強くなっている。
「骨喰藤四郎吉光。あんたが主と仰ぐ一色辰夫という人物がどういう人となりか知っているのか? 小細工を弄して自分の地位を上げようと画策する、あまり褒められたような人じゃないと思うぜ。そんな人に忠誠を尽くすのか?」
「それがどうだと言うのだ。ひとたび主と仰いだからには、この命ある限り主のために戦い続ける。それが武士というものよ」
(やれやれ、まるでどっかの霊狐みたいな頑固さだ。この強迫観念じみた思い込み。こいつ、ひょっとして付喪神。タイプ・マテリアルとして『目覚めた』ばかりか?)
霊気が安定し自我に目覚めたばかりの存在には本当の意味での自我が乏しく、出自の特性に囚われていることが多い。
この場合、武器としての冷酷さ、侍の愚直さが顕著に出ている。
(つい最近まで覚醒と睡眠を交互に繰り返してたのなら、見鬼に引っかからなかったのもうなづける。呪捜官が視た時は本当に寝ていて、霊気など発していなかったんだろう。ただでさえ物の霊気は生物のそれにくらべ、感じにくいからな)
「この命ある限り、武士は主のために戦わなければならぬ……」
刀を構え直して間合いをつめてくる。
「待て。ここは狭いから戦うのなら表へ出よう」
「……良かろう」
「京子はここ
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