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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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そばでこの刀を持って戦い、討ち死にした。
 その後この刀は松永久秀が所持し、それ以降は主家である三好家以上の権勢を得た。
 松永久秀はこれを秘蔵していたのだが、時の大友家当主、大友宗麟がそのことを知り、それはもともと大友家の物なので返して欲しいと大量の金銀を久秀に献じた上で要求した。
 久秀はこれに応じて大友家に骨喰を返した
 ところがこの骨喰藤四郎、その後に大友家から豊臣秀吉に献上され、そのさいに多くの者が『これで大友家は衰微するのではないか』と噂したという……。
 骨喰藤四郎は大阪夏の陣の後、落城した大阪城の中から発見されたが、その刀身には傷が一つもついていなかったとか――。

「――で、この『骨喰』て異名の由来だが、刀を持って人を斬る真似をしただけで相手の骨が砕けた。て逸話からきているそうだ」
「骨が砕けたの? 切れたんじゃなくて」
「そうだよね。刀なら、切れそうだよね。砕けるんじゃなくて」
「ま、あくまで伝説の話だ。それにそのケガしたやつも鎖帷子でも着込んでいたのかもしれないしな」
「それだけいわくつきの刀ならいつ霊災化してもおかしくないわね。…ていうかもうすでに霊災に成ってるんじゃない?」
「ありえるな。霊的存在が実体化する場合、より実体化しやすくなるために核となる物質を取り込むことがある。物に宿るパターンだ」
「タイプ・マテリアル……」
「そう、物の生成り。タイプ・マテリアルだ。昔風に言えば付喪神と呼ばれる存在に成る。構造的には形代を核にして実体化する式神と一緒だな。この場合は霊災の進行度が遅くなる代わりに安定度が増してしまう。そして安定度が増した状態が長引くと核となる形代を失ってもそのまま安定して存在し続けることが可能だ」
「形代がなくても存在し続ける、てすごいね……」
「さすがに行動は制限されるだろうがな。それと付喪神はその『物』という性質上、穏形に長ける種が多い。刺激を与えなければ尻尾を出さないかも――ッ!」

 強い霊気の動きを感じた。

「秋芳君!」
「ああ、どうやら勝手に尻尾を出したらしい」
「え? え? 二人ともどうしたの?」
「近くで大きな霊災が発生したようだ。いそげ」





 倉橋源司を斬る。
 肉に喰い込む刃の感触と、血飛沫の生暖かさを想像して辰夫は身震いした。

「やってやる……」

 この刀があれば陰陽師などに後れは取らない。
 辰夫は骨喰を鞘に納めると、ゴルフクラブケースの中にしまいこんで部屋から出た。
 そこに娘の麗香が立っていた。
 娘の、麗香の視線はゴルフケースをさしている。

「……どこに行くつもり?」
「ん、ああ。たまにはゴルフの打ちっぱなしに行こうと思ってね」

 麗香は黙って指をさす。その方向には骨喰が飾られてあるはずだ
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