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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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どういう了見なんだ。今度こんなことをしてみろ、ただではすまんぞ!」
辰夫は呪捜官を怒鳴りつけたその足で倉橋長官と面会した。
「君と話すことはなにもない」
直立不動の鋼。あるいは話す巌。その場にいるだけで周囲の人間に緊張を強いる生きた刃はそう言って辰夫を切り捨てた。
「も、もう一度考え直してください。私が次の事務部長となったあかつきには、倉橋先生にもじゅうぶんな恩返しをさせていただきます」
「そういう問題ではない」
「私にいたらぬ点があれば改めるよう努めます。ですから――」
「君に関する悪い噂は調べさせてもらった。そしてそれらのすべてが根も葉もない噂ではないと判断した。陰陽庁に汚れた『政治家』はいらない」
「お、お言葉ですが長官!」
ここで退いてはすべてが台無しだ。辰夫は食い下がった。
「クリーンだが無能な政治家より、ダーティでも有能な政治家も陰陽庁には必要では!?」
「ダーティだと周囲に知られる、ダーティだとばれた時点で失脚する。その程度の無能な存在は、陰陽庁には必要ない。今の地位に居られるだけで満足したまえ。これ以上私の時間を潰すな」
それで、すべてが終わった。
ゆるせない。
一色辰夫の心をつなぎ止めていた楔が弾けた。
気づけば家で骨喰いを、藤四郎吉光を磨いている辰夫の姿があった。
ゆるせない。
骨喰を手にした自分が倉橋を斬り伏せる姿を想像して悦に浸る。
陰陽師が、なんだというのだ。
自分にはこの刀がある。この力がある。
自分に刃向う者など、斬り殺してやる……。
天馬の家は護国寺にある。
一色麗香の家はその近所だ。
普通なら渋谷からは池袋か永田町に出て載りかえるが、天馬は普段は副都心線に乗って雑司ヶ谷で降りて徒歩で通っている。
秋芳たちは護国寺駅で天馬と待ち合わせて、一色宅へと向かう。
「京子ちゃんも来てくれるなんておどろいたよ」
「今日は彼に呪術について色々と教えてもらってたの」
「……すごいね、春虎君ともよく放課後に模擬戦してるけど、休日まで勉強してるんだ」
「陰陽塾の生徒ならそのくらい当然よ。それよりそのナントカって刀のことなんだけど…」
「粟田口吉光・作。骨喰藤四郎だな――」
九州地方の大名として名高い大友氏。その初代当主、大友能直が源頼朝より拝領したという太刀。
足利尊氏が九州に下ったさいに大友氏から尊氏に、深く忠誠を尽くすことの証として献上され、尊氏はこの刀を得てから運を盛り返して天下を得たという。
そのため将軍家は代々この刀を重宝していたが、十三代将軍義輝の時。近習の多賀豊後守という人物に与えられた。
三好三人衆、松永久秀による謀反の時に多賀豊後守も義輝の
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