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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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ってみたいわ」
「霊災は忘れた頃にやってくる。こっちが身構えてる時に限って霊災なんて身近に起こらないものだ。そのうち使う機会がるだろう」
「ねぇねぇ、あなたなら霊気を歪ませて瘴気を作れるでしょ。フェーズ1でいいから霊災を起こせない?」
「猫なで声でなんつー危険なことおねだりしちゃってるのかな、このお嬢さんは。街中でガソリンぶち撒いて火ぃつけるようなもんだからね、それ。できるけどしないよ。無理。無茶言うな」
「結界を作ってその中だけで…」
「火傷するかもしれない危険な火遊びはさせられないね」
「ラーメンとアバンチュールに火傷はつきものでしょ。痛みを恐れてたら、自分の殻を打ち破れないわ」
「どこのケメコ先生の言葉だよ! そんなにアバンチュールがお望みなら――」
 素早く京子の背後にまわり、後ろから抱きしめ、首筋に口づけをする。

「キャッ!?」

 秋芳はそのまま自分の体が下になるようにして後ろ向きに倒れる。地面に落ちたままの簡易式を花に模したクッションに変化させ、その上に倒れたので痛くはない。
 首筋に唇を這わせつつ、両手で京子の体をまさぐる。

「俺の霊災はもう百鬼夜行寸前のフェーズエレクトだ。さぁ、京子。修祓してくれ……」
「あっはははは、バカ! バカじゃないの、もう。このエロおやじ! アホ芳!」
「いてててて、つねるなつねるな」
「あなたとはアバンチュールじゃなくて真面目な恋をするつもりよ」
「ああ、俺もそのつもりだ」
「だったら変なことしないで」
「わかったよ。でも、このまま普通に抱きしめるくらいはいいだろ?」
「……そうね、そのくらいなら、いいわ。でもエッチなことしたら、またつねっちゃうんだから」
 
 それからあたりに散らばる簡易式をあやつり、即興で人形劇を楽しんだ。
 二人だけのエチュード。
 あきれるほど楽しい。
 最初は白雪姫だったのだが、マッチ売りの少女や人魚姫を助けたりしているうちに海賊の頭領になるという支離滅裂なストーリー。
 アカペラで『彼こそが海賊』を唄って、ジャック・スパロウの物真似を披露する秋芳の姿に京子が笑い転げる――。
 この楽しい時が永遠に続けばいい。
 二人がそんなふうに思っていた矢先、秋芳の携帯電話に着信が入る。
 二人とも水を差されたと怒ったりはしない。
 ほんとうに幸せな者は、そのような些末なことで気分を害したりしないものだ。

「天馬からだ」
「あら」
「俺だよ、俺。オレオレ詐欺だよ。……いや、飲んでないよ。酔ってはいるけどね。なににって? 恋という名の美酒にさ――」

 ひと通り話をして電話を切る。

「どうしたの?」
「天馬に助けを乞われた。ちょっと行ってくる」





「捜査令状も持たずに勝手に家に入っただと!?
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