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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
骨喰
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のある建物側の『屋上』ならば、その限りではない。
 そちら側の屋上に通じる扉には『秘密の特訓中。開けちゃダメ! のぞきを禁ず』と書かれた紙が貼ってあった。
 その扉の向こう側で今、呪術の応酬が繰り広げられていた。

「似蛇、等牙剥。疾く!」
 
 蛇に似る、等しく牙を剥きたり。
 秋芳が口訣とともに簡易式をばら撒くと、それらは空中で蛇と化し、京子の身に群がる。

「ひがしやまつぼみがはらのさわらびのおもいをしらぬかわすれたか――」

 京子は落ち着いて集中し、呪文を唱える。
 京子を中心に呪力の波動が走り、空中を進んでいた蛇たちは一斉に動きを止め、地に落ちると、苦しそうに痙攣を始めた。
 さらに京子の呪文が続く。

「地より生まれし呪い、主の元に戻りて、燃えゆけ、変えゆけ、返りゆけ!」

 すると地面でのたうつ蛇たちが、今度は秋芳に牙を剥いて襲いかかる。

「朝日さし、小曽ヶ森のカギワラビ、ホダ になるまで恩を忘るな」

 蛇たちにラグが走り、褐色の煙を出すと、元の符の形に戻った。

「今のも蛇除けの呪?」
「そう。術の効果は今さっき君に教えた蛇除けとまったく同じだ。蛇と同じ長虫、ムカデにも効果がある。…それにしても一回教えただけでちゃんと発動させ、さらに返しの術を使うとは、見事だ」

 先日交わした約束通り、秋芳は京子に術の手ほどきをしている。ムカデの動的霊災に苦戦したと言うので、まずは蛇・長虫除けの呪を伝授したのだ。

「君には縁のないことかも知れないが、陰陽師の仕事の中にはお偉いさんに呼ばれて術を披露したり、別の術者と術くらべを強要されることがある。伝説にある安倍晴明と蘆屋道満や知徳法師の話みたいにね。そういう時に術のレパートリーが多いと喜ばれ、逆に少ないと芸が乏しくてつまらん。などと不興を買う」
「失礼な話ね。陰陽術は見世物なんかじゃないのに」
「その通り。それと人でも霊災でも、対象を確実に『祓う』術さえ持てば、それ以外の小技はまったく無用。自分の得意技を徹底的に磨き上げて絶対の必殺技にまで昇華させれば良い。なんて意見もあるが、これはこれで偏った考えで、いざという時に手詰まりになる危険がある。だから『最高』の陰陽師を目指す君には広く浅くではなく、広く深く術を学んでもらう」
「最初からそのつもり。望むところだわ」
「だが根を詰めるのも良くない。今日はこのくらいにしておこう」
「もう終わりなの? あたしはまだまだ平気よ。…ねぇ、霊災修祓用の呪術を教えて」
「しょうがないな……。それじゃあ祓魔官がもちいるもっとも標準的な対霊災用修祓呪術と、百鬼を退ける基本中の基本のやつを教えるよ」

 祓魔官むけの専門書に記された帝式の術を、小一時間かけてじっくりと伝える。

「霊災相手に実際に使
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