第四十一話
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―食堂―
「…………はぁ。」
俺はそこそこ大きなため息をついた。
「どうしたんですか、千尋さん?」
目の前に座る青葉が心配そう…………ではなく、興味津々といった感じでこちらを見てくる。
食堂に入って、いつも通り天龍や時雨と飯を食おうかと思ったら、珍しく青葉が誘ってきた。断るのも申し訳無いから、天龍たちには悪いが今回はこっちに来た。
「いや、なんと言うか…………どんな人間も神様みてぇな完璧な奴にはなれねぇんだろうなぁと。」
俺はもう一つため息をして、唐揚げを一つ食べる。
「ふむ、千尋さんの尊敬してる人と言いますと、木曾さんですね?」
「…………あと、情報網のおかしいやつが近くにいるってのも原因の一つかもな。」
俺は青葉にそんな軽口を叩いていた。
「む、千尋か。どうした、神妙な顔をして。」
すると、俺と同じ唐揚げ定食が乗ったトレーを持った長門さんが近くを通った。
「あ、長門さん。まぁ、あれですよ。思春期ってやつですよ。」
おいこら青葉テメェ。勝手なこと口走ってんじゃねぇ。
「ふむ、悩みと言うのは誰にでも有るものだし、そんな時期も当然私にもあった。気にするものではない。思春期に少年から大人に変わるのだ。」
「どこのシンデレラですか。」
その理論だと、どこかで大人の階段を見つける必要があるがな。
「ところで、長門さんも一緒に食べませんか?」
俺の誤解を解く暇も与えず、青葉が長門さんを誘う。こいつ、嘘を真実にしようとしてる…………。
まぁ、思春期とか中二病とかは本人がノーと言ってもムダなものだ。長門さんなら広めないと信じよう。
「ふむ、悪くはないな。では、お邪魔させてもらおう。」
長門さんは青葉の隣の席に腰を下ろす。箸を手にとって、「いただきます。」と一言言ってから、味噌汁をすする。
…………やはり、凛々しい人だな、と思った。一つ一つの動作すべてが様になってる。
これが、この鎮守府で唯一木曾と同等に戦える人、戦艦 長門。
普段の生活ですら、雰囲気が生半可ものではない。
「そう言えば、今日の演習は素晴らしかったですね!特に最後千尋さんが水中から飛び出した所!一瞬で戦況がひっくり返りましたね!」
青葉は少し興奮したようにそう言った。確かに、最後のは上手く行き過ぎてるというか…………。
「あそこで千尋がうまいこと伝えてくれたからな。あとは待つだけだったさ。」
長門さんはあくまで俺を持ち上げてくれる。
「いや、それでも長門さんの存在は大きかったですよ。多少無茶してもなんとかなるかなと。」
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