アバの賊
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オニッシュ村を離れて歩き出してから、数分が経った頃一行は分岐路で立ち止まっていた。
「では、我々はここで別れます。これからハリ自治区主要都市ブノメットの支部へと戻るので」
とランダはすました顔で言う。
「そうか、では短い間ではあったがありがとう。お互い頑張ろう」
と言いながらダルフは右手を出す。
「なんのつもりだ」
「ただの握手だよ。友好的なものだ」
とダルフは何気なく行ったが
「ふん、悪いがそこまで馴れ合ったつもりはない」
と言って分かれ道を進み去っていく。
「なんだ、あいつは。もうちょっと仲良くできないのかな」
と言いながらハルは離れていくランダら一行を見送る。
「まぁそう言ってやるな、俺たちは流浪の旅人。それに加えてあちらは軍人さん、群れようにも群れづらいものさ」
と元軍人のシロンが言った。
「えー何そのつまんないの。ジットくんやセラちゃんの修行だって来てたじゃん」
とシロンに向かってだだをこねるかのように言い返す。
「それはダルフを監視するという言い訳があったから普通に接してこれた。しかしもう監視するのがないなら隊の隊長さんであるあいつは所属がない俺たちとはあまり仲良くできないって訳」
とシロンは腕を組みながら言う。
「まぁ、それなりの役目があるだし、しょうがないさ。」
と言いながらダルフはランダたちとは逆の小道を進んでいた。
「ちょ、まってよ」
二人は後を追う。
この辺の小道は舗装もされておらず、元々原っぱだったのを人や馬や荷車などが何年何十年通り、地面が削られてわだちなどが目立つ道になっている。
当然に森の中も入ったところまでは人の入ってきた後も残るが、だんだんと進むにつれ、道は消えていき全面的な日差しの明かりは無くなり、角度が傾きそこから直接差し込んでくる太陽光があるくらい。
さらに幹の間を流れる濃密な霧は、森独特な緊張感を。またキラキラと細かな光は不気味な妖しさ出していた。
吹き抜ける風が葉っぱを揺らし、ガサガサと鳴る。空中を飛び交う鳥の突然の鳴き声も追い討ちとなる。
「静かな森だね、なんか出てこないのかしら」
とハルは周りをチラチラと見ながら言った。警戒するよりはむしろ探しているといった感じのように。
「はぁ、そんなの出てきたら逆に面倒じゃねえか」
とシロンはポケットに手を入れながら、倦怠感まるだしの顔で言い返す。
「いや、そうでもない。むしろ逆に静かすぎる」
とダルフは辺りを警戒するように周りをキョロキョロした。
「そんなに変か、あまり森には入ったことが少ないが、こんなものじゃないの」
とシロンは目を細め周りを見渡たす。
「私もシロンの国よりは森や
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