美少年剣士
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凛は防戦一方だ、追い詰められる、風前の灯火だと思われたその時、相手が足を滑らせてしまう、汗だろうか?
「めぇーーんーー」
一瞬の隙を凛は逃さない、鮮やかな大面が決まる。
観客席から歓声が湧き起こる、凛の地方大会優勝が決まった。
「おめでとう」「やったね凛君」「君はわが校のプリンスだ」
「文武両道とは君のことだ」「美少年剣士」「侍」「美少年で天才で強い、君の未来は約束されている」
皆口々に褒めてくれた。
(ありがとうみんな、うれしい、ほんとに心の底からうれしい)
凛は満面の笑みを浮かべている。
「おめでとう、よくがんばったね」
「うん、でも危なかったよ」
優勝してから凛は学校へ、秋は仕事へ?戻っていたので初めての会話だ。
「お腹空いたでしょ?すぐご飯作るからね」
「うん」
凛は秋の自慢で光だ。
秋も凛の自慢で目標だ。
「刑事になるのって剣道強い方が有利なんでしょ?」
「ガシャン」食器を落としてしまう。
「凛、刑事はとても危険な仕事よ」
「僕悪いことをする奴が許せないんだ、お母さんみたいに刑事になってそんな奴らを捕まえるんだ」
秋は凛を刑事にはしたくない、危険だからだ、父親も刑事だったが殉職している。
それに、ありとあらゆる汚い物も見なければならない、凛にはそんな物は見て欲しくない。
それは愛する息子を危険な目に遭わせたくないという母親としては当然の気持ちかも知れなかった。
(僕は刑事になる、小さい頃からの夢なんだ)
しかし正義感に燃える凛は刑事になる事を決めていた。
その日の夕食は凛の大好きな母の手作りハンバーグだった。
ハンバーグをほおばりプクッと頬が膨らんでいる我が子を愛おしく秋が眺めていた。
「ピンポーン」
木村秋が玄関のチャイムを鳴らす。
「はい」
中から若い男が出てくる。
「私、警視庁捜査0課の木村です」
そう言って警察手帳を見せる、木村が上唇と下唇を口に入れる、美しい鼻が縦に伸びる。
その表情のままでしばらく時が流れる。
「カット!」
鈴木誠が指示を出す、スタッフが数人周りを取り囲んでいる、AVの撮影だ。
カメラが木村の鼻をアップにしてしばらくしてからのカットだ。
木村は濃紺のスーツのボタンを止めず下の白いワイシャツがハッキリと見える、そのワイシャツは短くお臍が見えている、撮影用だ。
木村は10年前の連続殺人の捜査をすると偽ってAV撮影をしに来ているのだ。
「カット」の指示の後、うつむき下唇を少し噛む。
(私……何をしてるんだろう……みんなに……被害者に顔向けできない)
「ピンポーン」
チャイムを鳴らす。
「はい」
インターホンから男の声がする。
インターホンのカメラ
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