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ダン梨・Y
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白いベルが、俺はお気に入りなのである。
 なんの躊躇いも淀みもなく言い切った正直者(オーネスト)くんは、遅れて特大のため息を吐くとともに目尻を吊り上げた。

「………はぁぁ〜〜〜、バミューダ!まさか今までの話全部この一言言わせるために婉曲に回してたでしょ!?ホンットバミューダはぁ!!ああもう、僕がこう答える事分かってて言わせるんだからハラ立つッ!!」
「たっはははは!お前がノーっていう訳ない事ぐらいとうの昔に承知の上だっつーの!ったくぅ、リスク覚悟でお前の意地通す作戦立ててやってる俺に対する感謝はねぇ訳?」
「作戦立てながら個人的に楽しんでたくせに。ばーか!」
「黙ってたら『バミューダいい案ない?』って聞く気だったくせに。あーほ!」
「………ぷっ」
「………くふっ」

 互いに互いの手の内が読め過ぎていると、なんだかおかしくなって俺とベルはなんとなくげんこつを突き合わせた。さーて、悪だくみの始まりだぁ!!

「……私はまんまとバミューダさんの話術に乗せられた訳ですか」

 ――と、うつむいたリューさんが呟いた。その気配に先程の殺気はなく、代わりに見えるは決意の瞳。敢えて多くは語らない彼女はどこか目が覚めたように顔を上げて恭しく一礼した。

「貴方たち常連はミアさんやシルのお気に入り。それを知っていて不幸にしたとあっては私も皆に顔向けできません。いいでしょう、ここはバミューダさんに乗せられて利用されます」
「え、リューさん……!」
「あ、いえ。そういうの結構です。ミアさんにバレたら互いにタダじゃ済まないしどうかご自愛ください。いいですか、絶対ですよ!!」
「……え!?今の流れでですか!?ちょ、ベルさんどういう事です!?」
「ああ、バミューダが『いいか絶対だぞ!』って言う時は大抵の場合『ウェルカム』に相当します。これバミューダとのコミュニケーションに於いては基礎の基礎ですので覚えていてください」

 一方、嵐のような会話の中、二人だけ取り残されたソーマ・ファミリアは顔を突き合わせて青い顔をしていた。キチったガキ二人だと思っていた目の前の冒険者たちは、自分たちの所属するファミリアを何らかの方法で潰す気なのである。

「………もしかして、とんでもない人たちに捕まってしまったのでは?」
「お前のせいだろうがクソパルゥムッ!!」
「オラ言い訳してんじゃねえ!!俺の鞭でまた打たれてぇのかア゛アンッ!?」
「ひぃぃぃぃぃッ!?」
「………全く、穏やかではなさすぎでしょう貴方は」

 しっぷうのリュー が なかまになった!!

「これ、お近づきの印の梨です」
「えっ。あ、どうも………指切らずに剥けるかな」

 リューさんェ……とりあえず、今度皮むきピーラーを作ってプレゼントしたげようと思う俺であった。
 
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