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真田十勇士
巻ノ百十一 二条城の会食その四

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「また戦になるがその場合はな」
「大坂が敗れる」
「そうなるとお思いですか、殿は」
「その様にですか」
「戦は総大将がどうかが大きい」
 まさにというのだ。
「それを考えるとじゃ」
「どうにもですな」
「大坂は随分と分が悪いですな」
「右大臣様はまだお若い」
「しかも茶々様のお力があまりにも強いので」
 秀頼も元服しているが茶々は相変わらず絶対と言ってもいい権勢で大坂の城にいるのである。
「茶々様が総大将」
「大坂のですな」
「そしてその茶々様が総大将なら」
「どうしてもですな」
「勝てる筈がない」
 大坂がというのだ。
「大御所様にな」
「ですな、では」
「それではですな」
「戦になれば大坂は敗れる」
「そうなってしまいますな」
「茶々殿は政もわかっておられぬが戦も同じじゃ」
 やはり全くわかっていないというのだ。
「おなごというよりもな」
「そもそもですな」
「何もですな」
「わかっておられぬ」
「そうした方ですな」
「しかもわかっておられぬことをわかっておられぬ」
 つまり何もかもがわかっていないというのだ。94
「それではな」
「敗れますな」
「どうしても」
「そうならぬ筈がありませぬな」
「それでは」
「しかも大坂の味方なぞな」
 それもというのだ。
「おらぬ」
「ですな、最早」
「誰も大坂にはつきませぬ」
「天下の流れは明らかですし」
「茶々様が総大将では」
「とてもです」
「お味方は出来ませぬ」
 影の者達も言う。
「それでは」
「最早」
「そういうことじゃ、戦になってもな」
 到底というのだ。
「つく大名はおらぬわ」
「では全く以てですな」
「豊臣家は孤立ですな」
「そうなっていますな」
「左様、大坂の外から見れば一目瞭然じゃ」
 それこそというのだ。
「まさにな」
「しかしそれでもですな」
「茶々様はわかっておられませぬな」
「あの方は」
「どうしても」
「そうじゃ、まだ豊臣家が声をかければな」
 茶々が思うにはだ。
「天下の半分はつくと思われておるが」
「しかしですな」
「それはそうはならない」
「それどころか誰もついて来ない」
「そうなりますな」
「そして敗れるわ」
 そうなってしまうというのだ。
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