EX回:第17話(改2)<お山の大将>
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った。
「慣れているってもな私だって、お前に指摘された後は落ち込むんだぞ」
「へえ、そうなんだ」
また寛代が反応した。
「ああ」
私は苦笑する。
「司令!」
急に日向が赤くなって口を尖らせた。
(あれ? ……珍しい)
普段の彼女は滅多に見せない表情だ。
「……悪い」
私は苦笑した。
だが今の反応で日向は緊張が解けたらしい。照れ隠しのような表情で腕を組むとポツポツと話し始める。
「……実際、大きい鎮守府ほど殺伐としているところが多いからな。艦娘同士で、いがみ合うことも多い」
「なるほど」
私は頷いた。
(彼女ほどの実力者でも悩みは多いのだな)
そういえば鎮守府に絡む内容で日向の本音を聞いたのは初めてだ。
(軍隊では下手をすると内部批判になるからな)
失言一歩手前の今の内容に自分でも気付いたのだろう。彼女は取り繕うように微笑んで言った。
「確かに司令は私たち艦娘から見ても足りない部分は多い。それでも私は美保に来て良かったと思っている」
「……」
恥ずかしいな……何だか私も店内の雰囲気に火照ってきたようだ。
今度は寛代が私たちの顔を交互に見ていた。
(この子には分からないだろうな)
日向と私は、下っ端の頃から同じ鎮守府の部隊に属することが多かった。
(これも何かの縁だろうか?)
……縁といえば、あの大井とも腐れ縁に近かった。彼女も日向に似て割りと直球でモノを言う子だった。
そして結局、彼女は舞鶴沖で芳しくない最期を遂げた。
(その点は私にとっても心の傷となっている)
一方の日向は何度も危ない橋を渡りながら生き延びた。豊富な実戦経験を持ちながら寡黙な彼女は、そのことについて公言する事は少なかった。
しかし何故か私に対しては淡々としながらも直言することが多かった。それは私が作戦参謀になってからも続いた。
そんな彼女も飾らない率直な性格だ。
(そういえば私と縁のある艦娘は素朴というかストレートな子が多いな)
私は、ふと何気なくカウンターでメモをしている秘書艦を見た。
(日向を、もうちょっとソフトな性格にしたら祥高さんになるのかな?)
そういう性格が私と相性が良いのだろうか?
「あら、竜田揚げ? それなら私が作ったのにぃ」
美保の龍田さんがクネクネしながら言った。彼女はもう酔っているのか?
マイペースな龍田さんは酒断ちとは無縁だな……まぁ良いけど。
「残念ながら竜田揚げではないよ。途中までは工程は一緒だけどな」
提督はフライパンを2つ用意して忙しそうだ。
日向は言う。
「そう言えば青葉たちが戻りませんね」
「青葉さんか」
私はアゴに手をやって呟いた。
日向も通信回線を
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