IF STORY
短編
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食べ盛りの蓮の為に多めに作った冷製パスタはまだ山盛りある。食べやすいように味も濃い目で我ながら中々の出来なのではないだろうか。
「ほらよ」
「ありがと」
こんもりと盛ったパスタを大口開けてむしゃむしゃと食べる蓮を見ていると何だかこちらも嬉しい気持ちになる。俺は腹も膨れたので冷えた水をちびちびと飲んでいると、あっという間に食べきった蓮が口を開く。
「やっぱりさ。螢にーちゃんから訊くしか無いと思うよ」
「……まあそうだよな」
「そうだなー……あ、この間桜ねーちゃんから借りた漫画であったんだけど」
「いや、それはいい。遠慮する」
あの姉が読んでいるものなんて大体想像付く。大半がドロドロしたものか、バッドエンドものだ。
「えー」
「どうせその後血みどろの争いが繰り広げられて全員死ぬんだろ」
「まあそうなんだけどね」
前言撤回。姉の影響はもろに受けている。それも大分手遅れな方向に。出来れば紺野姉妹のように健全に育って欲しかった。
「出来ればあの姉の漫画のネタからは離れて欲しい……」
「むぅ……まあ、お昼のお礼に何とか上手いこと聞き出して来ても良いんだけど……あ、ぶふっ!」
「上手くねぇよ」
昼飯を終えると、蓮が腹ごなしにとテレビゲームに誘って来た。と、言ってもうちにある据え置きのハードは、親父が昔遊んでいたかなり古い世代のものだ。W??iというその家庭用ゲーム機の売りはワイヤレスコントローラーとそれを利用した直感的操作だ。当時、ワイヤレスコントローラーと言えば画期的なものだったらしいが、今や据え置き機には標準規格でそもそもシェアはVRゲームに取られている。
ソフトはありきたりなレースゲームを選択し、無駄に白熱しているとインターホンが鳴った。
「やった、僕の勝ちー」
「いや、今のず……まあいいか」
一瞬、俺の気が散ったのを蓮は見逃さずラストのコーナーで内側を取られ、そのままストレートで負けてしまった。
居間から廊下に出て扉の前に立った時、直感的に訪問者を悟る。と言うのも、何となくそわそわした空気が扉の向こうから漂って来るのだ。
「はいよ」
「あ、螢。えーと、今、暇?」
「違うでしょユウ。螢さん、私達、今から買い物に行くんだけど、もしよかったら一緒に来てくれない?」
扉を開けた向こうには、予想通りお隣さんの紺野姉妹がいた。色合いが若干異なるものの、長袖Tシャツの上に同型のカーディガン。2人は一卵性双生児の為、黙って自然な表情をしていれば一瞬では見分けられない。昔はそうでもなかったが、何でも双子というものは成長するにつれ類似性が増すらしい。今日のとこは木綿季がショートパンツにニーソックス、藍子がプリーツスカート
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