アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
舞うは雪、流れるは雲A
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まで冷徹に、事前に打ち合わせた結果をなぞるように、予定調和の応酬でヴィータを追い詰めていく。淡々と槍と化したハボクックを振るうその姿には、ある種作業的な趣さえある。
しかし、
「忘れてもらっては困るな。」
そう、この場は二対一。一方だけを抑えようとも意味は無いのだ。シグナムの一撃が暁人を捉えるーーーその寸前でシグナムの剣が引かれる。
「……気付いたか。」
大した驚きも無く、事実を確認するように呟く暁人。シグナムが踏み出したその一歩先に、床板を突き破って氷の槍が林立していた。
「罠、か。用意しているとは思っていたがな。」
「言った筈だ。接待の用意は済ませてある、と。」
追撃の手を緩め、暁人が答える。相手が攻撃を止めた事を不審に思いつつ、ヴィータも一度距離を置き、シグナムの隣に並び立つ。
「さて……調子の確認も済んだからな。そろそろお引き取り願おうか。」
「はっ!そう言われて素直に帰れるか!」
「……だと思うから、玄関まで送ろう。」
暁人はそう言うが否や指を鳴らす。シグナム達に四方八方から氷の刃が降り注ぐまで、そこから一秒も掛からなかった。
「ハァッ!!」
「フンッ!!」
木々の隙間を縫って仕掛けたミミの踵落とし。それを両腕をクロスさせて受け止めるザフィーラ。衝突は衝撃を生み、周囲の雪を舞い上げる。
「ぐっ!?」
均衡が崩れたのはザフィーラの方であった。パワー負けしている訳では無いが、足元が雪原ではいつもの様な踏ん張りが利かない。彼とて雪中での戦闘経験が無い訳では無いが、むしろ雪中が本領とも言えるミミ相手には、流石に一歩劣る。
シャマルが適宜魔力弾で支援しているが、木々の遮蔽と、何より舞い上げられる雪が目隠しとなり、標的を捉える事が出来ない。一方のミミはその優れた聴覚によって二人を常に捕捉し続けており、殆ど一方的な攻撃を繰り返していた。
「……これ程とはな。」
ザフィーラが低い声で漏らす。暁人の戦闘能力については、事前に映像も見ており十分に警戒していた。しかし、ミミについては戦闘の情報は全く無く、唯一ウサギベースの使い魔である事が判明しているだけであった。
「御存知無かったでしょうが、御主人様の鍛練の相手は私が務めているんです。そのつもりで掛からないとーーー」
そこまで言いかけたミミの姿が掻き消える。爆煙の様に広がった雪を残して。
ザフィーラが間に合ったのは、守護獣として積み重ねてきた膨大な戦闘経験が警鐘を鳴らした為だ。殆ど反射的に振り返ると、既に眼前にまでミミの蹴りが迫っていた。
「ーーー怪我では済みませんよ?」
辛うじて防御魔法を展開し、受け止める。瞬間的にではあるが、フェイ
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