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とある3年4組の卑怯者
50 親子(たいせつなひと)
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ロと会えて相当喜んでいるな。親子っていうのはそれだけ大切なものなんだ・・・)
 藤木はタロとその親犬を見て親子の大切さを改めて知らされたように感じた。そしてタロとアマリリスの方を見る。
(それにみぎわの犬のアマリリスもタロと仲が良さそうにしている・・・。まるで親友のような大切な友達のように・・・)
 その時、藤木は永沢から声をかけられる。
「藤木君、君もしかしてタロがお母さん犬と会えて感動的に思っているんじゃないのかい?」
「いや、その・・・」
 藤木は返答に詰まった。
「藤木君、永沢君、おばさんが中に入ってお茶にしようと言っているよ〜。入ろうよ!」
 たかしが藤木と永沢を呼んだ。
「あ、うん・・・」
 藤木と永沢はおばさんの家に入った。

 おばさんの家では紅茶とクッキーをご馳走になった。
「たかし君はお友達がこんなにいて学校生活が楽しいでしょ?」
「うん、これもおばさんからタロを貰ったおかげなんだ」
 たかしの母がやや感傷的になって付け加えようとする。
「おかげでこの子もいじめられなくなりましたし、学校には遅刻しなくなりましたし、こんなに友達ができて、子犬を貰ってよかったと思います・・・」
 藤木はたかしの母が泣きそうに見えていた。
(西村君のお母さん、西村君を心配していたんだな・・・。そうだよな、いじめられると知ると哀しくなるよな・・・。僕だって皆から卑怯って言われて、父さんも母さんも心配しているもんな・・・)
 藤木は親は子を心配することがどれだけ痛々しいものかを感じることができた。藤木は自分の両親がどうして息子が卑怯になったのか、そしてそれはどちらからの遺伝なのか原因の擦りつけあいの喧嘩をしていたことを思い出した。そのくらい己の卑怯を心配しているからこそ大切なのではないかと藤木は両親の存在の有難みをこの場で感じていた。
「藤木君、何ボーっとしているんだい?」
 永沢に声をかけられて藤木は我に返った。
「あ、いや、何でもないさ!!」
 
 こうして皆は帰ることになった。皆はおばさんに「さようなら!」と挨拶した。みぎわがアマリリスを、たかしがタロを呼び、二匹はタロの母親と別れた。タロもその母親も寂しい表情をしていた。
「大丈夫だよ、タロ。また会いに行くからさ」
 たかしがそういうとタロは「ワン!」と返事した。帰る途中、たかしの母が皆に礼をする。
「皆さん、本当にありがとうございました。これからもウチのたかしと仲良くしてください・・・」
「はい、こちらこそありがとうございました」
 まる子も礼で返した。
「皆、来てくれてありがとう」
 たかしも皆に礼をした。
「西村君、こっちこそありがとう。ウチのアマリリスもアナタのタロと仲良くなったし、また一緒に散歩できるといいわね」
「うん、楽しみだね
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