悪魔のアグリーメント
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オスも歯を食いしばって堪え、あちこちの瓦礫に身体をぶつけられながらも鎖は決して手放さなかった。それどころかぶつけられた場所を逆に足場にして、力づくでフレスベルグをぶん回して別の瓦礫にぶち当ててもいる。互いに投げ技をかけまくってる、とでも言えばわかりやすいだろうか?
ぶっちゃけあのまま放っておいたら本当に一人で勝ちそうだ……あんな強力な鎖があるなら、何で今まで使わなかったんだろう? でもフレスベルグが必死に飛び回るせいで、猛毒の羽が周囲に飛び散っている。ドレビン神父によると、外では遠方で砲撃が飛び交う中、市民や局員の何人かがその流れ弾ならぬ流れ羽に刺さっては即死しており、戦闘上仕方ないとはいえ被害が出ていた。
流石に市民の被害は局員として見過ごせない。何か私にできることは……あった!
「あまり使ったことは無いけど……チェーンバインド!」
瓦礫の下のバルディッシュのサポートを受け、私は左手から鎖状のバインドを上空に発射する。お願い、届いて……!
「ん、そういうこと」
流石と言うべきか、瞬時に私の意図を理解したケイオスはレンチメイスの先端を開き、手ではわずかに届かない位置に飛んでいた私のチェーンバインドを挟む。フレスベルグもそれに気付いたようだが、時すでに遅し。私は残った全魔力を総動員して、彼らを引き寄せる!
そう、これは瓦礫で動けない私自身をアンカーにすることで、フレスベルグをこの場所に叩き落とす戦術。今までは濃い暗黒物質のせいで、フレスベルグには直接バインドをかけることができなかった。だが今はケイオスのブリガンディアが刺さっているから、彼に向けて使えば間接的に綱引きの要領でフレスベルグを引き寄せることが可能だった。
でもそれは、右腕の骨を犠牲にすることを意味していた。
「うぐ……!」
ミシミシ……ボキッ!
「あぁッ!」
二人分と巨鳥、そして装備云々の重さが全て私の右腕一ヶ所にかかり、いわば万力でギリギリと締め付けられてるような痛みに襲われ、痛々しく骨折の音が響いた。しかも……、
「しつこい! しつこい、しつこい! ウゼェ!!」
「い……! たぃ……ああぁあああ!!」
そう簡単に引き寄せてくれるわけもなく、フレスベルグは空へ逃げようと力づくで鎖を引っ張る。その足掻きで私の右腕にはのたうち回りたくなる激痛が走り、更に先程の砲撃で負った背中の傷からだくだくと血も流れて、たまらず声が漏れる。
「てこずっているようだな……手を貸そう」
そう言ってドレビン神父が私の鎖を掴み、引き寄せる協力をしてくれた。なぜか愉悦顔なのが気になるが、とにかく彼のおかげで右腕の痛みはそこそこ和らいだ。そしてこのわずかな猶予を利用して、ケイオスは一気に攻勢に打って出る。
「すぅ……はぁ…
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