悪魔のアグリーメント
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―――!」
正直に答えた瞬間、ケイオスは凄まじい殺意の目を高町なのはに向ける。ユーノが静止の声を上げるが、それを全く意に介さずケイオスはレンチメイスを振りかぶり、彼女に向けて振り下ろす―――!
ギンッ!
「さ、させない……! なのはは僕が守るんだ……!」
「邪魔」
咄嗟に間に入ったユーノのプロテクションとケイオスのレンチメイスが衝突、耳障りな音が響き渡る。怒りに任せて何度も武器を叩きつけるケイオスに対し、ユーノは必死に彼女を守っていた。
「止めてくれ、ケイオス! 僕の大事ななのはをこれ以上傷つけないでくれ!」
「は? 俺の大事なシャロンを傷つけておいて、何を言う」
「それは何か事情があったはずなんだ! だから少しだけ待ってほしい!」
「事情があるから、黙って受け入れろと? そっちがそう言うならこっちにも事情はある。そいつがいると、シャロンは幸せになれない」
「そんなことはない! 話せばきっと分かり合えるはずだ!」
「犠牲なき解決の機会は、遥か昔に失われている。贖罪に痛みが伴うならば、それは甘んじて受け入れなければならない。それが、あんた達の咎だ」
「この、分からず屋!」
「分かっていないのはそっちだ。そいつはあのリトルクイーンだ、あんたの知っている女じゃない」
「なのははリトルクイーンじゃない! リトルクイーンはもう浄化されているんだ!」
「はぁ、リトルクイーンの正体も知らないくせに、よくそんな事が言えるね」
リトルクイーン……正体? マキナを殺した奴に関して聞き捨てならない言葉がケイオスの口から発せられ、私は同じことを知ってそうなシオンに視線を移す。
「これは推測が交じってたんだけどね……リトルクイーンは高町なのはの負の側面が自立した人格を得て誕生したんだ。彼女の根底には“良い子にならなければ誰も自分を見てくれない”というトラウマとも呪いとも言える思念が刻まれていて、嫉妬や憎悪、殺意といった感情は“良い子には不要なもの”として切り捨ててきた。しかし父親の家……不破の血統は人斬りの血で、遺伝子に刻まれていた殺人衝動も彼女はしっかり継承してしまっていた。常人と比べたらはるかに強いその衝動さえも本人は無意識下に封印していたせいで、これまで切り捨てた感情の澱みは一種の地雷となった。彼女自身や周りは一切気付かなかったが、表向き彼女の運動神経が壊滅していたのは、自らの内にある殺人衝動を覚醒させないためでもあったんだ。実際には彼女の兄に匹敵するほどの才能を得ていたにも関わらず……」
「……」
「しかし魔法との出会いが、彼女の中に眠る殺人衝動を目覚めさせてしまった。暗黒物質を取り込んだことでそれはより強くなり、ついには人格を得るに至った。それがリトルクイーン、
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