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水の国の王は転生者
第四十二話 竜の羽衣
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髪の女の子を見つけた。

(あの黒髪……本当に日本人の末裔なのか)

 『魅惑の妖精』亭のジェシカが、『タルブ村に実家がある』と言っていた事を思い出し、

(彼女も日本人の末裔だったのか)

 と勝手に納得した。

 黒髪の少女と目が合い、マクシミリアンはニコリと微笑んだ。

「さっきも言ったけど言い値で構わない」

「は、はい……でしたら10エキューで……良いよな? 母ちゃん」

 最後の部分を小声で言い、女房はコクコクと小刻みに頷いた。

「安いな、本当に良いのか?」

「税も軽くなり十分に食べて行けます。なにより殿下のお陰でございます」

「欲が無いね。それじゃ、10エキュー、少し色を付けておいたから」

「ありがとうございます」

 マクシミリアンは懐から財布を出しエキュー金貨の入った布袋を木製のテーブルの上に置いた。

「マクシミリアンさま。余り長居するのも良くないかと思いますわ」

「そうだなカトレア。そろそろお(いとま)するよ」

 とマクシミリンは言ったものの、家の中から漂ってくる懐かしい匂いに帰る足も鈍った。
 永らくハルケギニアの生活に慣れ親しんできたが、魂に刻まれた『日本人的なもの』が醤油の匂いを嗅ぎ分けたのだ。

「いい匂いがするね。どんな調味料を使っているのか教えて欲しい」

「ウチのひい爺さんが作った調味料で、我が家に代々受け継がれた物です」

「その調味料の製法。これぐらいで売ってくれないか?」

 マクシミリアンは、財布からさっきの倍のエキュー金貨を鷲掴みして布袋の隣に置いた。







                      ☆        ☆        ☆





 夜になってマクシミリアンたちは、宿舎となる前の領主の館に泊まる事になり。そこで出された地元の名物の『ヨシェナヴェ』を食べる事になった。

「とっても美味しいですね」

 カトレアは、ニコニコしてヨシェナヴェに舌鼓を打っていた。
 一方、マクシミリアンは無言のまま黙々と食べていた。

「どうされたんですか? マクシミリアンさま。口に合わなかったのですか?」

「ん? ……ああ、美味しいよ」

「?」

 首を傾げたカトレアに、マクシミリアンは別の話題を挟んだ。

「タルブのワインは気に入った?」

「わたし、ワインを余り飲まないんですけど。とっても飲みやすくて美味しかったですわ」

「良かった。それじゃ、これからも贔屓にしようか」

「はい、マクシミリアンさま」

 賑やかさを取り戻し、マクシミリアンとカトレアは夕食を楽しんだ。

 ……

 床に入ったマクシミリアンとカトレアだった
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