第四十二話 竜の羽衣
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寺院は木製で、外観は日本の神社に良く似ていた。
「で、殿下。何か気に入らない所がおありで?」
「いや、あの神社……じゃない。寺院の中も見学してもいいかな?」
「はい、かまいません」
「ありがとう村長。行こうかカトレア」
「はい、マクシミリアンさま」
マクシミリアンに続くようにカトレアも、鳥居を潜り寺院の中に入った。
「あっ!」
寺院内に入ってすぐに、『ある物』がマクシミリアンの目に入り思わず驚きの声を上げた。
「どうされたんですか?」
「あれ……あの緑色のヤツ」
「変わった物ですね。鳥か何かのオブジェ、あれが竜の羽衣でしょうか?」
「いや、これは……」
マクシミリアンは、駆ける様に鳥のオブジェに近づいた。
それは濃緑色の飛行機で、マクシミリアンはこの飛行機に見覚えがあった。
(この飛行機、見た事ある……翼の日の丸。そう、たしかゼロ戦だっけ?)
マクシミリアンが、ゼロ戦に手を触れると、永い間眠っていた為かヒンヤリと冷たかった。
「村長!」
「は、はい!」
後ろに控えていた村長が、ビクリと背筋を伸ばした。
「この竜の羽衣。僕に売っては貰えないでしょうか?」
……
マクシミリアンの申し出を、村長は快く承諾した。
……と言うよりも、断りでもしたらどんな目に合わされるか怖くて、首を縦に振ったのが真相だった。
「竜の羽衣を、マクシミリアン殿下に売ることになってしまった。事後承諾になってしまったが、この通り、 承諾して欲しい!」
村長は、竜の羽衣に乗って来たという男の子孫の家に出向き事の説明をした。
「頭を上げてくれよ村長。正直なところ竜の羽衣なんて俺は今まで忘れていたんだ。欲しいって言うんだったら、俺は構わないぜ。良いだろ? 母ちゃん」
「あたしも構わないよ。売るっていうんだったら、王子様はいくらで買ってくれるんだい?」
時刻は夕方になり、男の子孫の家では夕飯の支度で女房やその子供たちが忙しそうにしていた。
「いやそれが……」
「言い値で買おう」
出入り口から、手をヒラヒラさせてマクシミリアンとカトレアが現れた。
「どちらさんで?」
「ば、馬鹿! マクシミリアン王太子殿下とカトレア王太子妃殿下だ!」
『え、えぇぇ〜〜〜!?』
ドドッ、とそんなに大きくない民家の中は悲鳴に近い声が上がった。
『ははぁ〜〜!』
家族全員がマクシミリアンらに土下座した。何故か村長も土下座に加わっていた。
「礼はいらないから顔を上げてくれ」
マクシミリアンの言葉で一同顔を上げた。
(ムムッ)
家族の中にハルケギニアでは珍しい黒
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