第四十二話 竜の羽衣
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哀想です。帰しても良いですよね?」
カトレアの視線の向こうには、人文字を作りながら延々と手を振り続けるタルブ村の住人が居た。
「も、申し訳ござません、直ちに!」
村長は、若い衆を伝令として送り、下手なマスゲームは終了を迎えた。
……
試験目的だったがブランデー工場は順調だった。
「数年寝かせば、商品化にこぎつけるだろう。各蔵元のみんなにはがんばってほしい」
とタルブ村中の蔵元の従業員を激励すると、それぞれの蔵元に特別ボーナスを渡し、視察は3時間程で終了した。
タルブ村には大小様々なワイナリーがあり、腕の良いワイン職人達が日々精進していた。
マクシミリアンの肝いりで行われた、ブランデー作りだったが、大手のワイナリーの職人達はあまり乗り気ではなく。比較的小さな蔵元が名乗りを上げていた。
後に小さなワイン職人数名が、ハルケギニア有数のブランデー職人となり名声を得る事になる。
視察を終え、宿泊先のかつての領主の館に向かう途中に奇妙なオブジェを見つけた。
マクシミリアンが見たもの、それはこのハルケギニアには明らかにミスマッチな鳥居だった。
「村長、あの建物は誰が建てたんだ?」
村長に聞いてみると、
「あの建物は、60年以上前に『竜の羽衣』と呼ばれる空飛ぶマジックアイテムに乗って来た男が建てた、え〜と、たしか『トリイ』だったと思います」
マクシミリアンは『もしや、日本人が建てたのでは?』と思い、詳細を聞いてみることにした。
「それで、その男の人は今もご健在か?」
「残念ですが、もう何十年も前に死にました」
「そうか……すまないが村長。あの建物を見学したいのだが良いだろうか?」
「は、はい、かしこまりました。ご案内いたします」
突然の予定変更に村長は少し戸惑ったが、それをおくびに出さず村長はマクシミリアン夫妻を先導し、鳥居のある場所へ到着した。
道中、村長は『竜の羽衣』と呼ばれる御神体について説明して、粗方の事情は理解した。
「それで、先の寺院には『竜の羽衣』と呼ばれる物が置いてあって、寺院を建てた男が60年前に空から舞い降りたと?」
「何しろ古い話でして、私も父から聞かされて詳しい事は分かりません。口の悪い村民などは、嘘ではないかと何度も急かして、男に竜の羽衣を飛ばせようとしましたが、結局飛ぶ事はなかったそうです」
「その後、その男の人はどうなったんですか?」
カトレアが会話に加わった。
「一部の村民からは嘘つき呼ばわりされていましたが、働き者でしたので村に溶け込み、静かに余生を過ごしたそうです」
「……」
マクシミリアンは無言で鳥居とその奥に建てられている寺院を見ていた。
その
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