第四十二話 竜の羽衣
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「と、ともかく大至急、全ての家々に連絡して歓迎の準備を! 若い衆にも声を掛けるんだ!」
「わ、分かりました村長。それと王太子夫妻は、この村にお泊りになられるのですか?」
「……え、日帰りでは無いのか……何処か一泊されるに相応しい場所を探さないと。馬小屋なんかに泊めたら打ち首だぞ」
村長は顔を青くして頭を抱えた。
「前の領主様の館が空き家になってますが」
「そこだ! 王太子夫妻が寝泊りできるように今日明日中に大掃除を!」
こうしてタルブ村の住人総出で、王太子夫妻の歓迎準備に取り掛かった。
……
マクシミリアンとカトレアは、仕事目的という事で、馬車ではなく竜籠を使ってタルブ村まで行く事になった。
竜籠の上でも二人はイチャイチャラブラブで、回りの者達はそんな若い夫婦を微笑ましく眺めていた。
竜籠がタルブ村上空の到着すると、マクシミリアンは驚きの声を上げた。
「なんだあれ?」
「あれは……文字ですか?」
カトレアが言った。
「まさか、こんな歓迎の仕方とは……」
タルブの平原には、百人を超す多くの人々が人文字で
『トリステイン万歳』
と、なるように立っていた。
それも、一人一人が竜籠に向かって引きつった笑顔で手を振っている
「マスゲームなんて、何処の独裁者だよ」
マクシミリアンは苦虫を噛み潰したような顔をした。
マクシミリアンは知らなかったが、ここ最近、マクシミリアンの名声は本人の意思とは関係なく一人歩きし、貴族をはじめ多くの人々、特に政府関係者には畏怖を持って知られた。
とある貴族曰く。
『マクシミリアン殿下に、ご不興を買おう物なら粛清される』
『先の内乱は、殿下御自らが囮となって反乱貴族を罠に嵌めたらしい』
『赦された一部の貴族は、トリスタニアにある秘密の地下室で人格を調整され以前とは別人の様になったらしい』
等々、悪名を全て紹介したらキリが無い。
そうこうしている内に、マクシミリアンらを乗せた竜籠は平原に着陸すると、村長を始めとする、タルブ村のお偉方がマクシミリアンらを出迎えた。
「遠路ご足労いただきありがとうございます。タルブ村の村長にございます」
「あのような歓迎は初めて見ました。」
当たり障りの無い返答をしておく。
「気に入って頂き恐悦し至極です」
「ですが、観光で来た訳ではありませんので。早速、ブランデー関連の視察を始めたいんですが」
「かしこまりました。馬車を用意させます」
「いや、天気も良いし歩いて行こうと思う。いいよね? カトレア」
「わたしはかまいません。それと村長さん、いつまでも、あの人たちに手を振らせ続けるのは可
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