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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット2
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すると、何の冗談か女性も同じ方向に迂回しようとしてまたぶつかりそうになった。
「おい! 邪魔だよ!」
おおう、こええ・・・。素直に謝ってやり過ごそう。
「おぉ、すまん・・・ね。ごめんごめん・・・」
口元がちょっとひきつっているかもしれない。
兎に角やり過ごそうと試みるや、やはり彼と同じコースで歩いてきて・・・
「だからしらねーっつーの! これからステージあるんだよわかる!? 記憶喪失の男なんて探してる暇ねーっての!」
いや、だから俺の進むほうに来ないで・・・
「邪魔だよ! さっきからあんた何なの!?」
「う、うむ、なんだろうね・・・それじゃ、さよなら・・・」
仕方なく回れ右して別のルートを探す事にする。
背後からすさまじい喧騒がまだ続いていた。
『三日戻れないとか知らねーし! なんであたしが見ず知らずのおっさんを面倒見ないといけないわけ!? あ!? おっさんじゃない!? しらねーし!! いそがしーんだよ! ミエルみたいにひまじゃないの!! それよかミエルいいかげんまともにしゃべれ! あんた何言ってるのか支離滅裂でわかんねーんだよ! きるよ!? もう切るよ!? だから忙しーんだっつの!!』
うむ、今の勢いでどうやら会話は終わったみたいだ。
くわばらくわばら。
もう別のルートで宿屋探すから、さすがにエンカウントしないだろう。
下り階段が丁字路で終わった突き当りで、ほぅ、っとため息をついて一瞬立ち止まると、背後から結構な勢いで「どーんっ!」とぶつかられて丁字路の手摺りに思わず腹をぶつけ、勢い余って落下しそうになる。
「ううお、こわ!! なにすん!」
振り向くと、さきほどの可愛らしいヒステリー娘がいた。
「・・・いってー・・・急に立ち止まるんじゃねーよ! このクソガキ!!」
く、そ・・・がき・・・?
「まぁまぁ、いい加減にしような。いい年した男を捕まえてクソガキはねーだろう」
「は!? 十代そこそこのクソガキがナマなこと言ってんじゃねーよ、おかすぞ!」
「いやいや、まぁまぁ、こう見えて俺も今年で26だからな? おっさんとか言われると傷つくけどな? ガキもねーな?」
「うるせーよクソガキ! 突き落とすぞ!!」
うわあ。
めんどくせぇ。
もういいや。
「うん、わかった。うん。まぁ、・・・バイバイ・・・」
丁字路を右に進もうと関わるのをやめようとした時、彼女が急にバルジェンの左腕にしなだれかかってきた?
「おいーちょっとー・・・、あのねぇー・・・」
「うるせぇうるせぇ・・・しばらくこうしてろよ・・・」
急にしおらしくなる。
めんどくさー! と思いながら彼女の後ろに視線を向け
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