第11話 神は力を、人は勇気を
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膝を震わせ、腰が引けながらも。両の脚だけは、大地を固く踏みしめている。怯えつつも大怪獣の凶眼から目を逸らさず、タイタノアはこの戦地に踏み止まろうとしていた。
「父上が、戦いに……! まさか、このような日が来るだなんて……!」
「タイタノア……戦ってくれるのか!」
その確かな「変化」に、威流とルクレイテは歓喜の表情を浮かべていた。特に娘のルクレイテは、父が「神」の名声に見合う姿を見せてくれたことに、感涙すら流している。
『ぬぉおぉ! もはやこうなれば破れかぶれ! 余の名誉に懸けて、必ずや貴様をギッタンギッタンに――!』
そんな彼らと、驚嘆するパイロット達を背に。タイタノアは己を鼓舞するように雄叫びを上げ――飛びかかるのだが。
『ヒィィッ!』
振りかぶられた豪腕。その先にある鋭い爪が、閃く瞬間。彼は今にも泣き出しそうな声を上げ、頭を抱えながらしゃがみこんでしまった。
急速に身を屈めたことで、大怪獣の爪は空を裂くのみに留まる。
『アヒィ!』
だが、その直後に飛んできた蹴りが、顔面に直撃してしまった。下顎から蹴り上げられた彼の巨体が、宙を舞い後方へ転倒してしまう。
プロテクターで固められたタイタノアの巨躯が、地響きを立てて大地に墜落し、轟音が天を衝く。
「……父上……」
「くっ、やっぱり数百年も寝たきりじゃあ戦い方が……!」
そんな父の醜態を見せ付けられ、ルクレイテの涙も引っ込んでしまった。一方威流は、たどたどしいタイタノアの挙動に苦々しく顔を歪めている。
すると。痛みにのたうちまわりながらも、なんとか立ち上がろうとする巨人の前に――火炎放射の灼熱が収束した。
「――! まずい、タイタノア伏せろッ!」
『ぬひぃッ!?』
それに勘付いた威流が、咄嗟に光線銃をタイタノアの頭上に撃ち放つ。その閃光に怯えた巨人が、条件反射で地面に突っ伏した瞬間――大怪獣の猛火が、彼の真上を通過して行った。
威流の機転が間に合わなければ今頃、タイタノアは大怪獣の火炎放射を至近距離で浴びていただろう。
『あ、熱いぃい! 頭に火、火、火ぃい! ファイヤーヘッドぉおお!』
「しっかりしろタイタノア、今の程度なら掠ってもいない!」
それでも余波の熱気は残っていたらしく、タイタノアは四つん這いになって逃げ惑いながら恐怖に震えていた。そんな彼に、威流は懸命に言葉を投げかけ続ける。
(だけど……!)
辛うじて直撃は避けた。しかしタイタノアは再び戦意を折られてしまい、情けなく逃げ惑っている。
「見て、竜也! あのロボットの動き……!」
「……どう見てもど素人な身のこなしだな。ガキみてぇだ」
「一体、何が起きているの……!?」
それに加え、空で膠着状態
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