第11話 神は力を、人は勇気を
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を覆う鱗が、次々と剥がされていく。
「見て……! あれは間違いなく、威流の技よ!」
「一体、何がどうなってやがんだ!?」
「わからない……でも! 放ってはおけないわ!」
一方、円華達はタイタノアの挙動から獅乃咲流空手の技を感じ取っていた。理解を超える事態の数々に、頭を悩ませながらも……彼らは仲間と同じ技を使う巨人を救うべく、機体を下方に滑らせていく。
――彼を死なせてはならない。兵士としての直感が、彼らを最前線へと導いていた。
――やがて。大怪獣の第2の兵器である凶眼が、妖しい光を纏い始めた。
「危ないッ!」
「いつまでも良い格好させっかよ!」
それに勘付いた瞬間。先ほど受けたダメージを思い返し――2人は同時に、両方の眼にレーザー砲を撃ち込んだ。一条の閃光が禍々しい眼を抉り、そこからさらに鮮血が噴き上がる。
視力を奪われた大怪獣は慟哭とともに、全てを焼き払わんと大顎に灼熱を充填させていく。かつてないほどに巨大な火球が、その牙の間に収束していた。
――しかし、その業火は不発に終わる。
今度は飛行艇部隊のレーザー掃射が、豪雨の如く降り注いだのだ。閃光の嵐が、大怪獣の頭上に襲い掛かっていく。
タイタノアの鉄拳により鱗を剥がされ、その下の体表を露わにされていた大怪獣は――無防備な肉体に熱線を浴び、絶叫を上げていた。
大顎に充填されていた火炎放射は、苦し紛れのように大空へ放たれるが……その頃には既に、円盤の群れは近辺から退避している。
『レーザー砲、体表に命中! 怪獣の動きが鈍っています!』
『よし、いいぞ! 勝利とサインはもうすぐだ!』
『神官長! 私情がダダ漏れです!』
流れは確実に、こちらに来ている。戦局の変化からそれを感じ取った威流は、タイタノアの身体で獅乃咲流の「奥義」を放つべく、その巨大な拳を構えた。
「これで決めるぞ……! こうなったら、最後まで付き合えよタイタノア!」
『う、うるさい! 怖いこと言ってないでさっさと――どひぃぃいい!』
天を衝くかの如き、跳躍。雲さえ穿つほどの高みへ舞い上がり、手刀を振り上げるタイタノアは――自分の身体で好き放題され、かつてないほどに泣き喚いていた。
だが、その悲鳴を聞きながらなおも、威流は躊躇うことなく「奥義」の手刀を振り下ろしていく。彼に神として相応しい働きをさせるには、心を鬼にするしかないのだと。
「獅乃咲流ッ――!」
『ぬぉおぉおぉおッ! 余は、余はっ――神だぁあぁぉぁあぁぃっ!』
その想いが、導くままに。
赤き巨星の手刀が、天の裁きの如く。
「――兜両断閃ッ!」
鱗を剥がされ、視力を失い、死を待つ肉塊と化した、かつての大怪獣に――引導を渡した。
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