第11話 神は力を、人は勇気を
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になっていた仲間達も、苛烈さを増していく大怪獣の猛攻を前に攻めあぐねているようだった。
『空戦艇部隊! なんとしても、なんとしても主神タイタノアをお守りしろ!』
『りょ、了解っ――きゃあっ!』
『ファイター2っ!』
――このままでは、徐々に戦力を刈り取られ、いずれは全滅してしまう。威流がそう危惧する中、後頭部を殴られ悲鳴を上げながら、タイタノアがこちらに倒れ込んでくる。
幾度となく数万トンの衝撃を受けたためか、その周囲には痛ましい地割れが広がっていた。
『ひぐっ、うぅっ……や、やはり、やはり余にはあやつを倒すことなど……』
「タイタノア……!」
「父上……」
もはや、タイタノアに戦える意思はない。そう判断した威流は光線銃を構え、玉砕覚悟で大怪獣を睨み上げる。ルクレイテも父を守ろうとするかのように、威流の傍らに寄り添った。
『……ぬぅ、う……これしか、やはりこれしかないというのか……!?』
「タイタノア……?」
――だが。泣き喚き、醜態を晒しながらも。タイタノアの心はまだ、折れ切ってはいなかった。
彼は割れた大地に手を掛け、切り立った崖を砕きながら身を起こすと……そのバイザーで覆われた眼で、威流と視線を交わす。
『……ヒュウガ・タケル! 余と合体すれば……貴様の技なら、あやつを斃せるのだな!?』
「……!」
そして、その口から出てきた一言に……威流は瞠目する。あれほど戦うことや、合体を拒んできたタイタノアが――
『……よいか、ヒュウガ・タケル! 余は、神だ! 例えなんと言われようと、この星の民にとって、余は最後の拠り所なのだ!』
「タイタノア……」
『だが、余の技ではあの大怪獣にはどうやっても勝てん! 知っての通り、余はチキンであるからな!』
「……」
――自ら、協力を求めてきたのである。
その決断を前にして、威流は毅然とした面持ちになり……深々と頷いてみせた。
彼の勇気をふいにはしない。その献身に応え、必ず奴を倒すと――誓うように。
『――故に、故に! 主神タイタノアの名の下、今ここに命ずる! ヒュウガ・タケルよ!』
「……あぁ!」
やがて、タイタノアの胸当てが開き――その中から、威流を誘うような光が流れ込んでくる。
彼の意思を察した威流は、その輝きに身を委ね――巨神の胸中へと、己の身を投じて行った。
『怖いから、さっさとあの怪獣なんとかせい! 余の……余の力を以てしてなぁ!』
そして、威勢に溢れつつも情けなさが抜けない、巨人の叫びと共に……プロテクターが閉じられた。
「……よく言った! あとは、全部任せとけッ!」
――威流の、自信に満ち溢れた雄叫びが、それを飲み込んだのは。その、直後である。
◇
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